2018年5月20日日曜日

5/18 勉強会:仮想通貨における相続時の課税関係が判明 他

1.退職者を被保険者とする支払保険料も損金算入可

■法人
・社内規程(がん規程)に基づく従業員に対する福利厚生の一環として、
法人を契約書及び受取人、従業員(退職者を含む)を被保険者とする終身がん保険契約を締結した。
・法人税確定申告の際に、がん保険に係る支払保険料を損金に算入した。
※がん規程の内容:退職後5年間、退職者ががんになった場合に、退職者に見舞金または弔慰金を支払う。
※終身がん保険契約の内容:掛け捨てであり満期返戻金はない。解約の場合は解約返戻金あり。

■課税当局
・退職した従業員を被保険者とするがん保険に係る支払保険料は業務関連性が認めれられないとし、
損金不算入とする課税処分を行った。

■国税不服審判所の裁決(平成29年12月12日)
・退職した従業員に係る支払保険料を損金不算入とした課税処分を取り消した。
⇒本件のがん保険契約は、従業員の福利厚生を目的とし、治療費補助等制度に基づく見舞金または弔慰金の原資とするために締結されたものであると認定。
⇒退職者支払保険料は納税者の業務との関連性を有し、業務の遂行上必要と認められるため損金に算入できるとした。





2.実務対応報告第38号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」について

■仮想通貨の期末評価
・売買目的有価証券の評価に近い考え方
・活発な市場が存在するかどうか
⇒存在する:時価評価/存在しない:取得原価評価
(活発な市場の要件)
・継続的に価格情報が提供される取引所
・十分な数量、頻度で取引
・売手と買手の希望価格が著しく離れていない

■仮想通貨の売買損益の認識時点
・売買の合意が成立した時点

■開示
・売買損益はPL上純額表示
・注記(仮想通貨利用者を想定)
(1) 期末日において保有する仮想通貨の貸借対照表価額
(2) 期末日において保有する仮想通貨について、活発な市場が存在する仮想通貨と活発な市場が存在しない仮想通貨の別に、仮想通貨の種類ごとの保有数量及び貸借対照表価額

■適用時期
・2018年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用
・早期適用も可能
⇒最短は2018年3月期決算での適用が可能
(この5月上旬にIRされた会社の中にも適用しているところがあるかも…)





3.仮想通貨における相続時の課税関係が判明

■相続税法上の取り扱い
・仮想通貨は課税対象
⇒相続税法上、経済的価値のある財産を相続した場合、相続税の課税対象となる
⇒仮想通貨は資金決済法で財産的価値があると規定されている

■相続人がパスワードを知らない場合
・仮想通貨は課税対象
⇒真偽の判定が難しい
⇒課税しないのは課税の公平性の観点から問題あり

■取得費加算の特例※
・適用するかどうかは検討中
⇒土地や株式の譲渡による所得は譲渡所得に区分されるが、仮想通貨は雑所得に該当するため
※相続した土地や株式などを3年以内に譲渡する際には相続税額を資産の取得費に加算することができる制度





4.相続開始前の預金引き出しは隠ぺいと認定

■概要
・平成24年に死亡した母(亡母)の唯一の相続人が相続開始前に亡母名義の口座から5,180万円引出
・医療費や療養施設への支払(約300万円)をする一方で、1,070万円を相続人の預金口座に入金
・残りの3,810万円を現金の金庫内に保管
⇒納税者名義口座への入金額1,070万円+自宅保管現金3,810万円=4,880万円
を相続財産として申告していなかったとして、重加算税を含む課税処分を行った。

■納税者の主張
・亡母名義口座の預貯金は、平成19年に亡くなった父の未分割の相続財産(納税者のもの)である

■東京地裁の判決 ⇒ 納税者側の敗訴
・預貯金の名義は亡母であり、固有の財産である年金の入金があった
・亡母名義の国債の償還、利息の入金があった
・預貯金口座の通帳、カードは亡母自らが管理していた
⇒預貯金等は全て亡母に帰属すると判断。

■隠ぺいと認定した理由
・預貯金は相続財産になると知っていて、申告する必要があると認識していた(意図有り)
・相続開始前に亡母の医療費などの支払を大幅に上回る現金を引出した(特段の行動)
⇒重加算税の処分は適法と判断





5.税負担20%以上でも経済活動基準判定

■平成30年改正でCFC税制に導入されたキャピタルゲイン特例
→譲渡された株式を「内国法人や内国法人に係る部分対象外国関係会社」に再移転する場合には適用あり
→同特例の適用局面では、制度適用基準は関係ない点に注意
→外国関係会社の租税負担割合が20%以上、さらには30%以上でも、経済活動基準の適合性判定必要





6.福利厚生費と交際費等との区分

交際費⇒得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する、接待、供応、慰安、贈答な
どの行為の為に支出する費用。
・交際費に該当する金額は一人、5,000円以上(会議費との区別する目安の金額)
・接待時の送迎のタクシー代を自社で負担した場合、金額に関係なく交際費となる・
・お土産代

福利厚生費⇒従業員の福利厚生のための費用。従業員に公平に支給される給料以外の費用。
・金額は常識の範囲内
・従業員の慰安のために行わる運動会、新年会、旅行など
・従業員等またはその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給さ
れる金品に要する費用。




7.東京高裁 役員退職金の過大判定で国が逆転勝訴

原審の「平均功績倍率×1.5」基準が2審で排斥された裁判

■判示内容
・功労加算は極めて特殊な事情がある場合に限り考慮すべき
⇒特殊な事情があれば平均功績倍率に加え功労加算を考慮するという点を
裁判所が認めた格好

・最終報酬月額には既に「功労加算」が反映されていると考えられる
⇒よって平均功績倍率をさらに1.5倍等する必要はない

・平均功績倍率を超える数値を採用する類似法人があっても合理的
⇒平均値を用いることの合理性を支持しており類似法人に平均値を超える
倍率を採用する法人がいても問題はない






8.近年は消費税も税務調査の重点項目に

消費税に係る税務調査は法人税の調査に付随して行われていたが、
近年は消費税をメインとする税務調査も行われている

主な調査箇所の
・個別対応方式を採用している企業に対し、
「課のみ」、「非のみ」、「共通」の区分が適否であるか。
・課税仕入れにかかる取引契約書等の内容より用途区分に誤りがあるか否か。




将来CF等の「割引率」の決定

(1)固定資産の減損損失の「測定」における使用価値の算定
・将来CFが見積値から乖離するリスクについて
 ⇒将来CFで調整か割引率で調整かの両方の方法あり
 ⇒将来CFが税前概念なので割引率も税前概念で
 将来CFで調整:国債利回り
 割引率で調整 :以下を総合判断して採用
   ①資産に固有の収益率(社内ハードルレート等)
   ②資本コスト(WACC)
   ③市場平均の収益率(類似物件の還元利回り等から推計)
   ④ノンリコースローンの借入利率

(2)リース料総額の現在価値の算定
 「貸手の計算利子率」を知りうる場合⇒当該利率
 「貸手の計算利子率」を知りえない場合
 ⇒借手の追加借入に適用される利率
  ※新規長期借入の利率、リース期間と同一期間のスワップ・レートに借手の信用スプレッドを加えたレート

(3)資産除去債務の算定
 ・貨幣の時間価値を反映した無リスクの税引前の利率
 ※将来CFが発生するまでの期間の国債利回り等。

(4)退職給付債務
・期末における安全性の高い債券の利回り
・退職給付支払ごとの支払見込期間を反映させる
・各事業年度で見直し

(5)貸倒懸念債券の貸倒見積高
 ・債券の発生当初の約定利子率または取得当初の実効利子率
 ・実効利子率=“CFの現在価値=債権の取得価額”となる利率





10.あずさ、新日本、トーマツ、PwCあらたの4大法人が、監査先企業の取引状況をオンラインで確認するシステムを共同開発(4法人で日本の上場企業約3600社の7割超の監査を担当)。


・あずさ、新日本、トーマツ、PwCあらたの4大法人が、監査先企業の取引状況をオンラインで確認するシステムを共同開発(4法人で日本の上場企業約3600社の7割超の監査を担当)。

・日本の大手法人が監査業務の共通化に踏み切るのは初めてで、世界でも例がない試み。

・確認を郵送ではなく、企業が金額をオンライン入力する方法を検討。監査する側、される側ともに決算に関わる負担を軽くする。

・重要だが、差別化の必要がない作業は業界で共通化し、各法人が不正会計のチェックや仮想通貨など新分野への対応に経営資源を集中させる狙いがある。

・今後、共同出資会社の設立などを経て、早ければ2年後をメドにシステムを稼働させる。

・共同システム稼働後は、中小監査法人や個人の会計事務所の参加も想定。





11.従業員持株会

1.概要
・従業員から会員を募り、給与から天引きされた拠出金によって株式を共同購入
・会員の拠出額に応じて持分を配分

2.運営上の留意点
(1)設立時期
株価が低い上場準備の初期段階で設立することが有利

(2)運営方式
多くは証券会社に委託(組合方式)

(3)会員の範囲
自社従業員○、子会社(50%超保有)従業員○
関連会社×、役員×

(4)株式の割当て
上場前は、既存株主からの移動、第三者割当増資などの資本政策を考慮し、計画的に行う必要がある。

(5)非弾力性
ストックオプションのような個人の貢献度に応じた弾力的な調整ができない。

(6)金商法との関連
株主数を一人株主とするため、以下の要件が必要。
・株主名簿に持株会の理事長名義で登録
・議決権行使は持株会の理事長が行使
・配当金は持株会でプールし、株式購入資金として再投資する仕組みとする。

(7)株価
一般的に、未上場会社の従業員持株会での株式移動価格は、
配当還元価額方式あるいは他の方式との併用による低廉な株価を採用。























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