2018年2月26日月曜日

2/23 勉強会:金融庁の考え方から読むフェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン 他

1.金融庁の考え方から読むフェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン

■フェア・ディスクロージャー・ルール(FDルール)とは
・上場会社等が公表されていない「重要情報」をその業務に関して証券会社、投資家等に伝達する場合、
 速やかに情報をホームページ等で公表することを求めるもの
・平成30年4月1日から導入

■Q&A
・株主総会で重要情報を伝達した場合はFDルールの対象か?
⇒未公表の確定的な情報であって、公表されれば有価証券の価額に重要な影響を及ぼす可能性がある場合は対象

・証券会社の営業担当者に重要情報を伝達する場合はFDルールの対象か?
⇒守秘義務や有価証券売買禁止に係る義務が課されることが説明され、適切な法人関係情報管理が実施されれば対象外


2.のれんと耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト

■前提
・IFRS
■償却
・いずれも償却をしてはならない
■減損テスト
・減損の兆候がある場合にはいつでも行わなければならない
■減損損失
・回収可能価額まで落とす(公正価値or使用価値のいずれか高い方)
・戻入れあり
■開示内容
・減損損失の認識又は戻入に至った事象及び状況
・認識又は戻入をした減損損失の金額
・個別資産について(性質、所属セグメント)
・資金生成単位について(生産ライン、工場、事業、地域等)
・当該資産の回収可能額+回収可能額の定義
・回収可能額=公正価値のケース
⇒評価技法、算定の基礎に用いた主要な各仮定(現在価値技法を用いて測定しているなら割引率も)
・回収可能額=使用価値のケース
⇒見積に用いた割引率


3.マンション販売事業者への消費税追徴課税相次ぐ

■事例
・販売用に購入した賃貸マンションの仕入税額控除の区分判定に関して、国税局の更正処分が増加

【事業者の主張】
・販売目的で仕入れているので、課税売上対応仕入に区分
⇒仕入れに係る消費税額を全額控除

【国税局の主張】
・販売するまで賃貸しているので、共通対応仕入に区分
⇒課税売上割合に応じた額だけを控除

※消費税課税区分
・マンションの販売⇒課税売上げ
・マンションの賃貸⇒非課税売上げ

■共通対応にした場合の問題点
・賃貸マンションの販売時には全額課税売上に計上されるが、仕入時には一部しか仕入税額控除できなくなる
⇒消費税の納付額がかなり増加



4.重加算税、審判所の事実認定にて原処分庁の主張が斥けられる

収入を申告していなかったことが重加算税の賦課要件に該当するか否か?

≪ 概 要 ≫
請求人は医師、重加算税の処分を課した理由として、①請求人が関与税理士に計算の根拠となる預金通帳を提示しなかった、②調査担当職員からも申告漏れを指摘されるまで預金通帳を開示しなかったことが、当初から所得を過少に申告する事を意図し、その意図を外部からも伺いうる行為をしたと指摘。仮想隠ぺいにあたるとして重加算税の賦課処分を課した。
≪ 裁 決 ≫
原処分庁の主張は斥けられた。
理由:重加算税を課すには納税者のした過少申告そのものが隠ぺい、仮装に当たるというだけでは足りず、これとは別に隠ぺい・仮装と評価すべき行為が存在しこれに合わせた過少申告がなされたことを要する。つまり架空名義の利用や資料の隠ぺいなどの積極的な行為があったとは認められないと結論付けられた。
≪過少申告を意図していた行為とは≫
本件の場合、確定申告書作成時に関与税理士に通帳を開示しなかったことが意図していたかどうか?
①口座を開設し支払先に振込先として指定いたものの、生活の為に引き出している形跡がなく、メインの通帳には多額の収入があったので、当該口座には振込まれた以外の入出金が一切なかった。
②医師・産業医として極めて多忙であり、売上の集計や記帳を自ら行わず、保険会社の担当職員に行わせていた程である。
①、②等の理由により適正に申告していると誤解していたと考える余地が残る、過少申告を意図していたとは推認させるものとまでは言えないと判断した。




5.連結で要件充足できなければムチ税制

平成30年度の税制改正で導入されるムチ税制

■ムチ税制=租税特別措置の適用制限
→一定の要件をクリアできなければ、研究開発税制、地域未来投資促進税制、IoT投資減税の適用が停止される。なお研究開発税制は、「総額型」「オープンイノベーション型」「高水準型」の全てが適用停止になる。

→要件としては、大企業で所得が前期比より増加しているにも関わらず、平均給与が増加、又は国内設備投資が一定金額以上されていない。

■連結納税企業は、連結ベースで判定される。
→個別の連結法人が、平均給与要件、国内設備投資要件等をクリアしても、連結べースでクリアできなければ、連結法人への租税特別措置が適用停止となる。





6.法人所有の仮想通貨と期末評価

■企業会計基準委員会(ASBJ)の見解
現時点において私法上の位置づけが明確でないが、「会計上の資産として取扱い得る」
としている。ただし、外国通貨・金融資産・棚卸資産・無形固定資産のいずれの会計基準
も妥当ではないと整理されている。

■法人税法上の取り扱い
短期売買商品や売買目的有価証券については期末時点において時価評価を行うことと
されている。しかし、時価評価の対象資産は法令上で限定列挙されており仮想通貨は
これにあたらない。

■実務対応
・取得時に取得価額をもって資産計上(表示区分は未定)
・会計上、時価評価した場合には別表で加減算調整をする

なお、最終基準は3月中に公表される予定



解約した電話加入権は除却損の計上を

■電話加入権の税務上の取扱い
・非減価償却資産に該当
・償却費計上×
・評価損計上×

■評価損計上できない理由
「1年以上利用休止(遊休)状態」であれば、
法人税法において固定資産の評価損計上が認められる。

電話加入権は以下理由により評価損計上ができない
・ネット普及に伴い市場全体が大幅に下落した
・1年以上利用休止していた事実によって下落していない

■費用計上するには
今後利用見込みがないのであれば解約して除却することが望ましい。




8.主要株主の異動

・「主要株主」=議決権比率が10%以上の株主
・上場会社は「主要株主の異動」が生じた場合
  ⇒遅滞なく臨時報告書を提出すること
  ⇒直ちに適時開示を行うこと
 が求められている。
・「主要株主の異動」とは
 ①主要株主の議決権比率が10%未満となったとき
 ②議決権比率が10%未満だった者が主要株主となったとき

臨時報告書は不要だが、適時開示が求められる事象
 ・「主要株主である筆頭株主の異動」
  ⇒開示ミスが生じやすい
  ⇒ストックオプションの行使によって発行済株式数が増加し、
   既存の主要株主が10%を下回ったが、所有株式数に変動がないことから
   適時開示を行わなかった例がある



9.労働時間管理

・労働時間の管理は会社に義務あり
・時間管理方法は、ICカード、PC使用時間の記録などの客観的な方法が原則
・自己申告の記録は例外的な措置
・その場合でも会社が実態調査を行い、乖離が生じている場合には補正する必要あり
・労働時間の記録は3年間の保存義務あり

















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