2018年1月22日月曜日

1/19 勉強会:子育て世帯配慮措置は夫婦別々に適用可、医療費控除Q&A 他

1.子育て世帯配慮措置は夫婦別々に適用可

・給与収入850万円超の給与所得控除額の上限を195万円に引き下げる
 (現行:1,000万円超で220万円上限)
・ただし23歳未満の扶養親族又は特別障害者がいれば負担増が生じないように配慮
 (給与収入(1,000万円超の場合は1,000万円)から850万円を控除した金額の10%を控除できる)
・夫婦別々に適用可能
・平成32年(2020年)以後の所得税から適用



2.役員退職金の過大判定で東京地裁が注目判決

■納税者
・建材金物の製造販売の事業者
・役員の死亡退職慰労金として4.2億円を支給
・計算式:最終月額給与240万円×勤続年数27年×功労倍率6.5(役員倍数5.0×功労加算1.3)

■税務署
・独自に抽出した同業類似法人5社の平均功績倍率が3.26
・役員退職慰労金の適正額を2.11億円として、2.09億円が不相当として否認。更正処分。

■地裁の判断
・特段の事情がない限り平均功績倍率の1.5倍(本件:4.89)で適正額を算出すべき

■判断の基準
・類似法人の妥当性(地域性、同業種、売上規模(0.5倍~2.0倍)、退職事由、訴訟などが関係していない)
⇒原則、類似法人の平均倍率を使用
・ただし、相当程度のかい離は認めるべき
⇒1.5倍までは適正との判断基準(算定根拠や合理的な理由は示されておらず、根拠のない数値という批判あり)



3.介護付き有料老人ホームの消費税課否判定で一部取消裁決

■有料老人ホームの消費税課否判定
・介護保険の給付対象となる介護サービスは非課税
・利用者の特別な希望により行われる個別的な介護サービスは課税

■食事の提供
⇒課税取引
理由:介護保険法において「食事の提供」は含まれていないから

■洗濯及びドライクリーニング
⇒非課税取引
理由:日常生活上の世話又は支援に該当と判断

■通院介助
⇒課税取引
理由:本件では老人ホームの定めた協力医療機関以外の医療機関を受診する際の送り迎えであるため、個別的な介護サービスに該当と判断



4.要件を満たしていない医療費通知は医療費控除に使えない!?

平成29年度税制改正で医療費控除を受ける際の手続きが簡素化
■改正内容
医療費の領収書に基づいて必要事項を記載した「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付して提出が可能
つまり、医療費の領収書の提出が必要なくなることとなる(領収書は5年間の保管義務有り)

また、「医療費通知(お知らせ)」を添付する事で「医療費控除の明細書」の記載を簡略化できる。
但し、この「医療費通知」には下記の6項目の記載がなければ確定申告で利用する事が出来ないので留意
①被保険者の氏名
②療養を受けた年月
③療養を受けた者
④療養を受けた病院、診療所、薬局等名称
⑤被保険者が支払った医療費の額
⑥保険者等の名称

■経過措置
平成31年分の確定申告までは従来通りの提出方法でも可能

■医療費通知(又はお知らせ)を利用する際の留意点
・上記の①~⑥の記載が欠けている医療費通知書でも確定申告書で利用可能?
⇒①~⑥すべての項目が無いと利用不可
・通知書に記載がない医療費の支払いがある場合
⇒該当する医療費の領収書に基づいて「医療費の明細書」に記載する
・医療機関にて窓口での支払が無い場合(自己負担の記載がある場合)
⇒医療費控除は実際に支払った医療費が対象なので、減免された分は(実際に支払ったとはされない)計算の際は減免分を控除することに留意
・補填された金額の記載方法
⇒通知書に自己負担分の減免前の金額が記載されている場合は、通知書に減免等された金額を追記する
・記載されている金額が実際の負担額と異なる場合
⇒窓口では10円未満は四捨五入のため実際の支払額との差額が発生する為、実際の支払額を医療費控除額として計算する
・医療費通知書に空欄がある場合
⇒前述のとおり①~⑥の記載がない通知書は確定申告では利用不可のため、領収書に基づき明細書を作成して提出するか、医療費通知書の空欄を補完記入する事で記載要件を満たす事になる



6.平成29年分所得税確定申告のチェックポイント

平成29年分所得税の確定申告が、2月16日からスタート。
申告納税期限は、3月15日。

■給与所得控除の上限額の引き下げ
給与所得控除の上限額が適用される給与収入が、1,000万円(控除額220万円)に引き下げられる。
参考:平成27年1,500万円(控除額245万円)、平成28年1,200万円(控除額230万円)

■セルフメディケーション税制の創設
自分と生計を一にする家族が支出した「特定一般用医薬品等購入費」が、1万2千円を超える時は、その超える部分の金額の所得控除を受けることができるようになる。(8万8千円が限度)
⇒一定の健康の保持増進及び疾病の予防への取組(健康診断や予防接種等)をしていることが必要。
⇒保険金、損害賠償金などで補塡される金額がある場合には、それを相殺する。
⇒従来からの医療費控除との選択適用となる。
なお、医療費控除を選択する場合には、「セルフメディケーション税制」対象となっている「特定一般用医薬品等購入費」を医療費に含めることができる。

■(事業所得)年の中途で業務の用に供した減価償却資産等の償却費の特例
月割計算を行う資産の対象に営業権が含められた。




7.医療費控除Q&A

国税庁より医療費控除に関する手続きについてのQAが公表された

■主な内容(抜粋)
・制度改正の内容について
Q:どのような改正があったのか
A:(改正前)医療費の領収書を確定申告書に添付
 (改正後)医療費控除の明細書を確定申告書に添付し、領収書は自宅に5年間保存

・記載の簡略化について
Q:医療費控除の明細書の記載を簡略化できる場合があるようですが
A:医療保険者から発行される、次の6項目の記載がある「医療通知」を添付
  する場合には記載を簡略化できる。また、領収書の保存も不要となる。
<記載項目>
(1)被保険者等の氏名
(2)療養を受けた年月
(3)療養を受けた者
(4)療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
(5)被保険者が支払った医療費の額
(6)保険者等の名称

・経過措置について
Q:経過措置があるようですが
A:平成29年から平成31年の各年分については従来の「領収書添付方式」による申告も可。
  なお、一部の支払について「明細書方式」をとるなど方式の併用は不可のため注意



8.特別徴収税額通知はマイナンバー記載不要

H30年度税制改正大綱に明記されたことを受け、
地方税法の改正が行われH30.1.1に施行。

■改正前
H29年分の特別徴収税額通知に、
事業主の法人番号等や従業員の個人番号が記載され通知された

■改正後
紙ベースで特別徴収税額通知を受ける場合、
マイナンバーは記載されないこととなった。(法人番号及び個人番号ともに)
※電子で受ける場合は記載されることとなる。



9.国税庁:納税者が配偶者控除等を受ける場合に提出すべき書類の取り扱い(新3項目)を追加

■控除対象となる配偶者が非居住者である場合
給与所得者の配偶者控除等申告書には「親族関係書類」及び「送金関係書類」を給与支払者に提出が必要。
⇒すでに給与支払者に対して扶養控除申告書を提出する際に「当該関係書類」を提出済の場合は提出不要。

■給与所得者の配偶者控除等申告書を電子データ保存の特例を受ける場合の承認
給与支払者は、既に源泉徴収に関する記載すべき事項の電磁的方法による特例の承認を受けている場合。
⇒新たに承認を受ける必要はない。

■給与所得者の配偶者控除等申告書のマイナンバーの記載について
給与支払者と従業員との間での合意に基づきマイナンバーを確認し相違がないことを当該申告書の余白にその旨を記載をしている場合。
⇒改正前の配偶者特別控除申告書と同様に記載不要である。

※補足として平成30年分以後の年末調整から「給与所得者の配偶者控除等申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書」は、従来の兼用様式から分割様式の新様式となる。



10.契約の結合/収益認識に関する会計基準案

・ステップ1:顧客との契約を識別する
⇒同一の顧客と「同時」または「ほぼ同時」に締結した複数の契約について、
 下記3つの要件のいずれかに該当する場合には当該複数契約を単一契約とみなして処理する

①複数の契約が同一の商業的目的を有するものとして交渉されたこと
②1つの契約において支払われる対価の額が、他の契約の価格または履行により影響を受けること
②複数の契約において約束した財またはサービスが、第29項から31項に従うと単一の履行義務となること

⇒現行の日本基準では工事契約および受注制作のソフトウェアを除き、契約の結合に関する定めは存在しない



11.会社法改正で、株主提案権の乱用的行使を制限へ

・過去には野村ホールディングスの総会で「トイレをすべて和式に」など100件の提案があり、こうした事例を念頭に企業が株主提案の制限を判断しやすくする。

・株主が提案できる議案数を5までにする案と10までの案を併記。
・米国では1株主につき提案は1つ。ドイツは提案内容で制限。
・判例に基づき、企業が内容によって提案を制限できる判断基準も示す。他の人の名誉を侵害したり困惑させたりする目的などの提案を例示する。

 ・株主提案権を行使できる要件は見直さない方向(株主の議決権の1%以上、または300個以上の議決権を6カ月以上前から保有)。



12.3C分析

1.顧客(Customer)、2.競合(Competitor)、3.自社(Company)の3つの視点から事業環境を分析
事業計画を立案する上での環境分析として、使用されることが多い。

1.顧客分析
・市場概要の把握
・ニーズの把握
・顧客行動の把握

2.競合分析
・競合他社の特定
・新規参入の動向
・代替品の動向

3.自社分析
・バリューチェーン分析
・強み、弱みの分析
・ポジショニング分析








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