2017年12月2日土曜日

12/1 勉強会:関信局 28事務年度における法人税等の調査事績公表 他

1.税賠事故 ケーススタディ 居住用財産譲渡損失

■概要
・依頼者Aは平成25年6月に居住用財産を先行取得し、住宅ローン控除の適用を受けた
・平成26年10月旧居住用財産を譲渡した
・譲渡損失を損益通算できるか顧問税理士に相談したところ、ローン控除をうけているため適用不可といわれ、適用しないで確定申告をした
・平成28年2月、顧問税理士が調べなおしたところ適用可と判明
・更正の請求を検討したが、譲渡年の確定申告に書類添付要件があり請求不可は判明
・税賠請求事案となった
 
■ミスのポイント
税理士が居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の特例における適用要件を誤って認識していたこと

■予防策
・居住用不動産については特例が多いうえ、数年分の有利不利判定が必要なケースがあるため、条文ベースで慎重に検討を行うべきあった
⇒思い込みによる判断のみで進めず、必ず条文の裏付けをとるよう注意する


2.関信局 28事務年度における法人税等の調査事績公表

■調査概要
・法人税⇒海外取引法人等をマーク
 実地調査件数11,050件
 申告漏れ所得金額1,017億円
 調査による追徴税額197億円
・法人消費税⇒消費税還付申告法人をマーク
 実地調査件数10,717件
 調査による追徴税額 53億円
・源泉所得税⇒海外取引法人等をマーク
 実地調査件数13,124件
 調査による追徴税額 32億円

■調査事例
1.架空の請求書で外注費を計上
⇒架空の請求書の発行を依頼し、作業実態のない架空外注費を計上
2.給与を業務委託費に仮装
⇒従業員給与をダミー法人に対する業務委託費に仮装し仕入税額控除し、消費税額を圧縮
3.多額の利益を得ていながら無申告
⇒売上の多くを別名義の預金口座等に入金、帳簿書類を破棄していた
4.架空のコンサルティング料を計上
⇒実態のない海外子会社に対する架空のコンサルティング料を計上
5.開発費に係る源泉徴収を行わず
⇒租税条約の規定に基づいた源泉徴収を行っていなかった


3.ギフト配送契約

・IFRS第15号では、商品の支配が顧客に移転した後の出荷・配送活動は「別の履行義務として識別」するものとしている。
・配送中の商品に対して危険負担(災害などで商品が破損した場合のリスク)を負っている会社は2回に分けて収益を計上する
・ただ、日本国内の配送なら出荷と着荷の期間が短いため分割する重要性は薄い。
・収益認識基準の適用指針案93項では、商品の支配が顧客に移転した後の出荷・配送活動は「契約を履行するための活動」として「履行義務を識別しないことができる」と明示された。


4.JICPA、会社法と金融商品取引法の開示及び監査の完全一元化を提言

・事業報告等と有価証券報告書の記載内容の整理・共通化・合理化を更に推進
⇒将来的には、完全に開示書類を一本化することが望ましい

・一本化された開示書類を株主総会前の適切な時期に提供すべき。


5.学生起業からの上場に成功した事例の傾向

(上場の期間は2001年~2016年9月)

1.人材かITに集中
学生からでもマネタイズしやすい事業領域、パソナやリブセンス、mixiなどの人材系か、ドリコム、クックパッドなどのIT系か、人材かITからスタートしている企業がほとんど。

2.短期マネタイズが可能な事業から開始
今ほど資金調達がしやすい環境ではない時期に立ち上がった企業が多いからか、Webの受託開発など、短期マネタイズがしやすい事業から開始している企業が多い。

■主な成功事例一覧
・株式会社パソナグループ
(創業者:南部靖之/創業者株式シェア:約35.41%)
・ぴあ株式会社
(創業者:矢内廣/創業者株式シェア:約20.98%)
・株式会社ドリコム
(創業者:内藤裕紀/創業者株式シェア:約38.77%)
・株式会社ミクシィ
(創業者:笠原健治/創業者株式シェア:約43.2%)
・クックパッド株式会社
(創業者:佐野陽光/創業者株式シェア:約43.57%)
・株式会社リブセンス
(代表取締役:村上太一/創業者株式シェア:約48.91%)









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