2017年12月9日土曜日

12/8 勉強会:賃上げ+投資に消極的で全租税適用NGも 他

1.有償新株予約権の会計処理が正式決定へ

■ASBJが検討中の実務対応報告「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」がほぼ固まった
・適用時期:平成30年4月1日以後 ※公表日以後の早期適用可
・会計処理
⇒従業員から払い込まれた金額=純資産の部に「新株予約権」
 企業が従業員から取得するサービス=その取得に応じて「費用計上」、権利の行使または失効が確定するまでの間、純資産の部に「新株予約権」
 権利行使され新株を発行した場合=新株予約権計上額のうち、当該権利行使に対応する部分を払込資本に振り替える
※平成30年4月1日より前に付与したものについては、注記を要件に従来の会計処理を継続できる

・その他
⇒適用初年度において、これまでの会計処理と異なる場合及び注記により従来の会計処理を継続する場合には、「会計基準等の改正に伴う会計方針の変更」として取り扱う
⇒遡及適用する場合の新株予約権に対応する払込資本の増加額は「その他資本剰余金」に計上


2.ポイントの未使用残高を未払計上で損金算入は可能か?

■論点
顧客の購入金額に応じて付与するポイントサービスについて、そのポイントに係る未払計上額(未使用残高の増加分)を損金算入出来るか

■審判所の見解
・ポイントを付与された顧客が当該ポイントを使用出来るのは、次回以降の会計時
・付与時において具体的な給付原因となる事実の発生は認められず、使用時において初めて具体的な債務が確定
⇒付与時において法人税基本通達2-2-12(債務の確定の判定)、9-7-3(金品交換費用の未払金の計上)いずれの要件も充足せず損金算入出来ない


3.賃上げ+投資に消極的で全租税適用NGも

H30年度税制改正において、H29年度に適用期限を迎える所得拡大促進税制につき、適用期限延長及び大企業向け限定でバージョンアップした制度が導入される予定

■ポイント
「賃上げ」と「設備投資」に着目
・積極的に行う企業は法人税の負担を引き下げ。
・消極的な企業は全ての措置法の適用が受けられなくなる可能性あり
⇒「大企業向け」の措置。賃上げのみでは×。あくまでも賃上げ+設備投資。

■優遇措置
・法人税率 ⇒ 現状未確定
・賃上げ ⇒3%以上の賃上げ

中小企業は現状の規定が存続される予定


4.仮想通貨の保有数量等を注記へ

■注記内容
<対象>
仮想通貨交換業者が期末日において保有する仮想通貨及び預託者から預かっている仮想通貨
<内容>
(1)貸借対照表価額の合計額
(2)「活発な市場が存在する仮想通貨」と「活発な市場が存在しない仮想通貨」の別に仮想通貨の種類ごとの保有数量及び貸借対照表価額

■理由
・価格変動リスクが外国通貨や金融資産と比べて大きい
・仕組み自体に消失、価値減少リスクが存在
・同じ種類の仮想通貨でも取引所によって価格が異なる
⇒投資家が仮想通貨の単価を把握できるようにするため

■適用
・H30年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用
・早期適用も可


5.国家間での相互協議が進まず移転価格税制の処理が長期化

■相互協議が長期化
 相互協議とは、租税条約に適合しない課税を排除する為に条約締結国と解決を図るための手続き
 国税庁の発表によると、28年度の事案発生件数は162件、処理件数が171件となった。
 相手国との合意、納税者への対応が早まっているように見えるが、問題が長期化してしまい処理しきれずに繰越となってしまっている件数が約450件、また1件の処理にかかる期間が伸びているのが現状(24か月以内の処理を目指しているが、実際は28~30ヶ月を要している)

■長期化の原因は?
 国別繰越件数:米国25%、中国20%、韓国9%、インド9%、英国8%
 繰越件数の約4割がアジア圏であり、1件の処理期間も平均で36か月と長期化している
 相手国の経験不足、税務当局の人材不足が主な原因となっている。


6.グループ法人税制 実務の落とし穴 譲渡損益の繰延べ

■譲渡損益の繰延べ
完全支配関係のある内国法人間で譲渡損益調整資産※を譲渡した場合、譲渡法人でその譲渡損益を繰り延べる制度。譲受法人側で譲渡、除却等があった場合に譲渡損益を実現させる。
※固定資産、土地、有価証券等でその帳簿価額が1,000万円以上のもの
 
■ポイント
・帳簿価額:税務上の帳簿価額をいう⇒別表加算がある資産は加算後の金額となる
・棚卸資産は原則除くが、棚卸資産である土地は対象となる
・譲渡対価:時価により譲渡損益を計算する
・完全支配関係があっても外国法人は対象外
・完全支配関係がなくなった場合には譲渡損益を実現させる
・再譲渡先がグループ内であっても譲渡損益を実現させる⇒再譲渡先に制限なし
・100%グループ内の適格合併の場合には合併法人が繰延べられている損益を引き継ぐ


7.国税庁 質疑応答事例を更新し25事例を追加-内1つを紹介

確定申告書の提出期限の延長の特例制度について(原則の期限から最大2ヶ月)
■延長が認められるケースのポイント
・原則
延長を受けるには、定款に定時株主総会の招集時期が記載され2ヶ月を超える旨が明らかであることが必要
また税務署に届出を申請する必要がある

・定款に定時株主総会の招集時期の定めがない場合で、提出期限の延長の特例制度の適用可のケース
※前提として、議決権の基準日を設定する(召集時期は未設定)、定款変更が行われているケース
⇒議決権行使の基準日を定めた場合、基準日から3カ月以内に議決権行使
⇒3月決算法人が5月31日を基準日とした場合、総会は2ヶ月を超えることになる

1.定款変更議案の株主総会参考書類の「提案の理由」として事業年度終了後3カ月後に定時株主総会を招集することが記載
2. コーポレートガバナンス報告書の「集中日を回避した株主総会の設定」欄に事業年度終了後3カ月後に定時株主総会を招集することが記載
3.その他変更後の定時総会の招集月が明らかとなる書類(招集時期の変更を決議した取締役会の議事録など)が確認できる


8.適時開示

・上場会社はTDnetの「適時開示情報閲覧サービス」や自社のWebサイトで様々な情報を開示している
・主にPDF形式でアップされている
・開示する前にPDFファイルの「文章のプロパティ」に注意したい
・開示の内容とは無関係な情報が含まれたままアップされている例が散見された
・Web上で公開する前にプロパティ情報の確認が必要。


9.クロージング・PMI段階での留意ポイント

■クロージング段階における留意点
・第三者からの差止めリスク
⇒クロージング前に第三者との間で協議、問題を解消する必要あり
・独占禁止法上の排除措置命令リスク
⇒独禁法上の届出が必要な場合、届出期間が満了していること
・許認可の取扱い
⇒許認可の取得が短期間でできないケースを考慮
・労働者の取扱い
⇒労働条件の変更等の説明にどの程度の期間を要するのか等を事前に確認

■PMI段階における留意点
・役職員のリテンションプラン
⇒現金報酬と株式報酬をどのように組み合わせるか
・PMI時点におけるリスクアセスメントの実施
⇒リスクの洗い出し&リスク対応


10.子会社・関連会社の留保利益に係る繰延税金負債

■連結子会社の留保利益に係る税効果
1.配当受領を解消事由とする場合
・子会社の留保利益のうち、将来の配当により親会社において追加納付が発生すると見込まれる税金額を親会社のDTLとして計上
・ただし親会社が子会社の利益を配当しない方針を採っている場合など、配当に係る課税関係が生じない可能性が高い場合には税効果を認識しない

2.投資の売却を解消事由とする場合
・将来加算一時差異につきDTLを計上
・ただし親会社が投資の売却を親会社自身で決めることができ、かつ、予測可能な期間に売却を行う意思がない場合には税効果を認識しない

■持分法適用会社の留保利益に係る税効果
1.配当受領を解消事由とする場合
・持分法適用会社の留保利益のうち、将来の配当により追加納付が発生すると見込まれる税金額を投資会社のDTLとして計上
・持分法適用会社に留保利益を半永久的に配当させないという投資会社の方針がある場合等には税効果を認識しない

2.投資の売却を解消事由とする場合
・投資会社がその投資の売却を自ら決めることができることを前提として、予測可能な将来の期間に売却する意図がない場合には、税効果を認識しない


11.基本合意書締結段階での留意ポイント

■締結する理由
・当事者間の論点・争点の明確化
・スケジュールの明示・共有
・一定の事項について合意することで、成立の確度を上げる
・基本合意締結段階で公表する場合は、以後のDDが行いやすい
■適時開示
・原則、基本合意締結段階で開示
・例外として、一定の合意でしかなく、成立見込が立つものではない、公表することで成立に至らない場合は開示を行わないことも許容
※法的拘束力の有無だけで判断されない
■破棄した場合のリスク
・法的拘束力を付さなくても、相手方に損害を被らせないようにする信義則上の義務がある
・義務に違反して損害があれば、「契約締結上の過失」に基づく責任として、債務不履行責任等を負う可能性あり


12.M&A検討段階でのインサイダー情報管理とその他留意点

■事例分析
金商法違反事例の過半数はM&Aに絡むインサイダー取引によるもの
⇒インサイダー情報の管理の徹底を意識

■情報がインサイダー情報として成立するとき
⇒特定の機関がM&Aを決定したとき
※特定の機関:会社の実質的な意思決定機関であれば足りる
※正式な意思決定機関(取締役会等)による決定よりも前に、実質的な決定がされるのが通常
※決定:決定されたかどうかがポイントであり、M&Aの実現可能性は関係ない

■インサイダー情報の管理方法
徹底的な関与従業員の絞り込み(役員と所管部署の一部)

■その他留意点(1)
・M&Aが既存契約の相手方との関係で問題が生じないか(競業避止義務違反が実務上多い)
・M&Aが既存契約の解除事由(チェンジオブコントロール条項)がないか

■その他留意点(2)
・親会社が子会社株式を売却する場合、子会社の非支配株主を保護する配慮
⇒親会社が子会社株式を売却する場合、子会社は自身のDDに協力するのが通常
⇒but子会社に非支配株主がある場合、DD協力は子会社役員の善管注意義務違反を問われることあり


13.ガンジャンピング規制のポイントとその対応

ガンジャンピング
=M&A時に独占禁止法が一定の時期まで実行することを禁止している行為をフライングで実行してしまうこと。
企業結合/カルテル規制の2つの規制に対する違反があげられる。

■企業結合規規制
一定の要件を満たすM&Aにはクロージング前に競争当局(公正取引委員会その他海外競争当局)の承認が必要。
=競争当局の承認が降りる前に禁止行為を実行するとガンジャンピング該当。
※一定の要件=買主サイドの売上200億円超、売主サイドの売上高50億円超

■カルテル規制
クロージング前に競争上の機密情報の交換を行った場合等にガンジャンピング該当。

■具体的なガンジャンピング
・DD時に競争関係にある商品の販売価格や製造コスト等、競争上の機密情報を交換する(カルテル規制)
⇒一定の対応策を取れば、機密情報の交換が認められる(機密情報の受領者を当該事業に関与しない役員や外部アドバイザーに限定するなど)。
・競争当局の承認、クロージング前に調達価格を統一する(企業結合規制、カルテル規制)。
・クロージング前にシナジーを得るための投資を実行する(カルテル規制)。
・M&A当事者間の取引価格を独立当事者間における取引条件から乖離したものにする(企業結合規制)
・契約締結からクロージングまでの間の行動に対して、クロージングと同視される支配を対象会社に及ぼす誓約条項を設ける(企業結合規制)。
⇒「通用の業務の範囲」を制限するような誓約条項が該当する可能性がある(競争関係にない商品の新規取引実行時に承認が必要とする等)。



14.デューデリジェンス(以下、DD)実施段階での留意ポイント

■目的
M&Aを実施する際に売却対象事業等に内在する問題点を調査・検討する手続き

■記録の管理、売主側の情報開示
・買主側が要求した(開示されるべき)情報を売主側が提出していなかったという紛争が多い
⇒開示資料、インタビュー内容の記録の管理が重要
・近時ではVDRの設置が増加
⇒オークション形式のM&Aに便利

■情報の交換
・ガンジャンピングの問題
⇒情報交換に関するプロセスの透明化、適切な情報遮断措置の対応が重要

■買主における他社の営業秘密の侵害リスク
・売主から買主への情報開示により不正競争防止法上の営業秘密の保護が受けられなくなるリスク
⇒DDの過程で競合会社由来の情報が売却対象事業等由来の情報との混入を防ぐ管理措置及び競合対象会社由来の情報のみ提供させることができるかの確認が重要

■コンプライアンス違反の発見
・対象会社においてコンプライアンス違反の調査を受けている場合、事実を買主に開示することで、捜査妨害等に問われるリスク有
⇒発覚した段階でM&Aのプロセスを中断することが多い
⇒リスクを飲み込んででも実施したい場合は最終契約の中で対応者、課徴金や罰金等の負担割合の合意が重要


15.IPOマーケットの現状

・マザーズは市場第一部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場。
⇒ マザーズに上場して10年が経過すると、市場二部に変更するか、マザーズで上場継続かの選択が求められる。

・国内IPO件数はリーマン・ショック後の2009年に底入れ。
⇒ 2009年:19件、2010年:22件、2011年:37件、2012年:48件、2013年:58件、2014年:80件、
2015年:98件、2016年:86件、2017年(9月まで):58件

・最近のIPO企業の規模(売上:中央値)
⇒ 東証一部 1,074億円、東証二部 154億円、JASDAQスタンダード 63億円、マザーズ 19億円


16.監理銘柄・整理銘柄

・監理銘柄
上場銘柄が上場廃止基準に該当するおそれがある場合、その銘柄を一定期間、監理銘柄に指定して売買が行われる。

⇒上場廃止になると、証券取引所での売買が行われなくなるため、そうなる可能性が高い銘柄を投資家に周知させるのが主な目的

・整理銘柄
上場廃止基準に該当し上場廃止が決定した場合、整理銘柄として銘柄の売買が行われる。

⇒上場廃止になると流通性が著しく低下するため、投資家に注意を促すために設けられた制度
⇒上場廃止が決まった場合に、直ちに取引停止にすると投資家の売買の機会が著しく狭められてしまうため、原則として1カ月間整理銘柄に指定された後に上場廃止となる。









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2017年12月2日土曜日

12/1 勉強会:関信局 28事務年度における法人税等の調査事績公表 他

1.税賠事故 ケーススタディ 居住用財産譲渡損失

■概要
・依頼者Aは平成25年6月に居住用財産を先行取得し、住宅ローン控除の適用を受けた
・平成26年10月旧居住用財産を譲渡した
・譲渡損失を損益通算できるか顧問税理士に相談したところ、ローン控除をうけているため適用不可といわれ、適用しないで確定申告をした
・平成28年2月、顧問税理士が調べなおしたところ適用可と判明
・更正の請求を検討したが、譲渡年の確定申告に書類添付要件があり請求不可は判明
・税賠請求事案となった
 
■ミスのポイント
税理士が居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の特例における適用要件を誤って認識していたこと

■予防策
・居住用不動産については特例が多いうえ、数年分の有利不利判定が必要なケースがあるため、条文ベースで慎重に検討を行うべきあった
⇒思い込みによる判断のみで進めず、必ず条文の裏付けをとるよう注意する


2.関信局 28事務年度における法人税等の調査事績公表

■調査概要
・法人税⇒海外取引法人等をマーク
 実地調査件数11,050件
 申告漏れ所得金額1,017億円
 調査による追徴税額197億円
・法人消費税⇒消費税還付申告法人をマーク
 実地調査件数10,717件
 調査による追徴税額 53億円
・源泉所得税⇒海外取引法人等をマーク
 実地調査件数13,124件
 調査による追徴税額 32億円

■調査事例
1.架空の請求書で外注費を計上
⇒架空の請求書の発行を依頼し、作業実態のない架空外注費を計上
2.給与を業務委託費に仮装
⇒従業員給与をダミー法人に対する業務委託費に仮装し仕入税額控除し、消費税額を圧縮
3.多額の利益を得ていながら無申告
⇒売上の多くを別名義の預金口座等に入金、帳簿書類を破棄していた
4.架空のコンサルティング料を計上
⇒実態のない海外子会社に対する架空のコンサルティング料を計上
5.開発費に係る源泉徴収を行わず
⇒租税条約の規定に基づいた源泉徴収を行っていなかった


3.ギフト配送契約

・IFRS第15号では、商品の支配が顧客に移転した後の出荷・配送活動は「別の履行義務として識別」するものとしている。
・配送中の商品に対して危険負担(災害などで商品が破損した場合のリスク)を負っている会社は2回に分けて収益を計上する
・ただ、日本国内の配送なら出荷と着荷の期間が短いため分割する重要性は薄い。
・収益認識基準の適用指針案93項では、商品の支配が顧客に移転した後の出荷・配送活動は「契約を履行するための活動」として「履行義務を識別しないことができる」と明示された。


4.JICPA、会社法と金融商品取引法の開示及び監査の完全一元化を提言

・事業報告等と有価証券報告書の記載内容の整理・共通化・合理化を更に推進
⇒将来的には、完全に開示書類を一本化することが望ましい

・一本化された開示書類を株主総会前の適切な時期に提供すべき。


5.学生起業からの上場に成功した事例の傾向

(上場の期間は2001年~2016年9月)

1.人材かITに集中
学生からでもマネタイズしやすい事業領域、パソナやリブセンス、mixiなどの人材系か、ドリコム、クックパッドなどのIT系か、人材かITからスタートしている企業がほとんど。

2.短期マネタイズが可能な事業から開始
今ほど資金調達がしやすい環境ではない時期に立ち上がった企業が多いからか、Webの受託開発など、短期マネタイズがしやすい事業から開始している企業が多い。

■主な成功事例一覧
・株式会社パソナグループ
(創業者:南部靖之/創業者株式シェア:約35.41%)
・ぴあ株式会社
(創業者:矢内廣/創業者株式シェア:約20.98%)
・株式会社ドリコム
(創業者:内藤裕紀/創業者株式シェア:約38.77%)
・株式会社ミクシィ
(創業者:笠原健治/創業者株式シェア:約43.2%)
・クックパッド株式会社
(創業者:佐野陽光/創業者株式シェア:約43.57%)
・株式会社リブセンス
(代表取締役:村上太一/創業者株式シェア:約48.91%)









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2017年11月26日日曜日

11/24 勉強会:配偶者控除等に関するFAQ 他

1.独立企業間価格の簡易な算定方法示す

■国税庁から「移転価格事務運営要領」等の一部改正案が公表
・一定のグループ内役務提供取引=企業が役務提供に要した費用に5%を乗じた金額を加算した金額を独立企業間価格として取り扱う旨を新設
⇒適用要件
(1)役務提供が支援的な性質のものであり、法人及び国外関連者が属する企業グループの中核的事業活動には直接関連しないこと
(2)役務提供において、法人又は国外関連者が保有し、又は他の者から使用許諾を受けた無形資産を使用していないこと
(3)役務提供において、法人又は国外関連者が、重要なリスクの引受けもしくは管理又は創出を行っていないこと
(4)役務提供の内容が、研究開発、製造、販売及び金融等に該当しないこと
(5)同種の役務提供を非関連者に対して行っていないこと
(6)(1)~(5)までに掲げる要件の全てを満たした企業グループにおける役務提供について、その内容に応じて区分し、その区分ごとに役務提供に係る総原価の額を合理的な方法によりその役務提供を受けた者に配分した金額に、その金額に5%を乗じた額を加算した金額をもってその役務提供の対価としていること
(7)役務提供の内容を記載した書類等を作成し、又は取得し、保存していること


2.税効果注記、早期適用は来年3月期から

(1)税効果会計基準の一部改正(案)が12月中に正式決定され、平成30年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用
⇒表示及び注記事項は、平成30年3月31日以後最初に終了する連結会計年度の年度末に係る連結F/Sから早期適用可

(2)表示・注記事項について、早期適用を認める理由
・DTA・DTLを全て非流動区分に表示する変更に伴う (流動比率に対する)影響は限定的
・注記事項の追加はF/S利用者に対してより有用な情報を提供

(3)表示・注記事項以外について、早期適用を認めない理由
⇒早期適用を認めると、3月決算法人においては、平成30年3月期が対象となり、既に進行している年度の四半期F/Sに影響を及ぼす可能性がある、等

(4)税効果会計基準の一部改正(案)を早期適用する場合の留意事項
⇒表示・注記事項併せて適用(それぞれ部分的に適用することは想定されていない)


3.配偶者控除等に関するFAQ

■配偶者控除 ※控除対象配偶者を妻とする。
現行:年間の所得金額が38万円以下(給与収入103万円以下)の控除対象配偶者
⇒夫の配偶者控除として、夫の所得金額より38万円控除可能

改正:妻の所得金額38万円を前提として、夫の所得金額により控除額が異なる
給与収入1,120万円以下 ⇒38万円控除
給与収入1,170万円以下 ⇒26万円控除
給与収入1,220万円以下 ⇒13万円控除
給与収入1,220万円超  ⇒控除なし
⇒夫の配偶者控除として、夫の所得金額よりそれぞれの金額が控除可能

なお妻の年間所得金額が38万円超から123万円以下の場合は、「配偶者特別控除」の適用がある。

■FAQ(一部抜粋)
Q1:いつから改正か
A1:H30.1.1以後の所得税より適用。※H29年分の所得税(年末調整等)に影響なし

Q2:源泉控除対象配偶者とは
A2:妻の合計所得金額が85万円(給与収入150万円)以下で夫の所得金額900万円(給与収入1,120万円)以下の人

Q3:源泉控除対象配偶者に該当しない場合
A3:マル扶の「源泉控除対象配偶者」欄に記載不要。
またH30.1.1以後の給与支給の際、配偶者を考慮されない所得税が徴収される。(=増税となる)

Q4:期中に源泉控除対象配偶者に該当することとなった場合。
A4:異動がわかった際に給与担当者へ報告(マル扶を提出)すること。
異動がわかった日以後の最初の給与支給より徴収される所得税額がかわる。

■参考
国税庁のHP
https://www.nta.go.jp/gensen/haigusya/pdf/koujo_faq.pdf



4.収益認識会計基準案、大きな方向性に変更なし

■収益認識会計基準案とは
IFRSとの整合性を取るために策定された売上高の計上方法に関する新しい基準

■公開草案に対するコメント
・中小企業への影響が大きいため、個別財務諸表への適用を任意にすべき
・税務上の申告調整が増加しないように、会計処理と税務処理を合わせるべき
・割賦基準を代替的な取扱いとして定めるべき(新基準案では、販売時に一括して売上計上)
・重要性等を考慮した上で代替的な取扱いを認める旨を明記してほしい

■適用
・来年3月頃までに正式決定
・2021年4月1日以後開始する事業年度から強制適用予定


5.観光立国実現のための財源、出国税

■旧来の出国税(国外転出時課税制度)
 H27.1/1以後に国外移住する居住者が1億以上資産を所有している場合、資産の含み益に対して所得税を課税されていた。⇒ 一定の限られた者を対象にした制度であった。

■H30年税制改正による出国税
「日本人を含む」出国旅客に対して「出国目的や手段は問わず」負担を求める。
 2019年中の導入を目指しており、金額は一人当たり1,000円を超えない範囲を予定している。
 従業員が頻繁に海外主張するような企業であれば負担増にはなるが、負担額は損金算入とされる予定。

■出国税を導入している国と税額
 アメリカ 申請手数料として14ドル(約1,540円)
 韓  国 出国納付金として10,000ウォン(約975円)
 オーストラリア  出国旅客税として60AUドル(約5,280円)


6.グループ法人税制 実務の落とし穴

■100%支配の判定
(1)個人
個人100%保有の場合、その個人にはその個人の親族等も含まれる。つまりこれらの親族等で100%支配している法人が複数ある場合にはそれらの法人間には完全支配関係があることとなる

(2)外国法人
「一の者」には外国法人も含まれることに留意する

■支配関係は発行済株式等で判定する
議決権ベースで100%支配していても発行済株式等で100%支配していない場合完全支配関係はないものとする

■形式的に100%関係を解消しても無効(同族会社)
第3者割当により従業員(またはその他の者)に新株を発行した場合であっても実質的に資金調達等がされない場合にはその取引は無効(行為計算の否認)となる

■完全支配関係の発生日は株式の引渡日で判定
株式の譲渡損益は譲渡契約締結日ベースで計上するが、完全支配関係の判定は引渡日ベースで判定する。契約日と引渡日にズレがあり、決算日をまたぐ場合には注意が必要



7.今週のFAQ<医療費通知とは>

■平成29年分の確定申告から、医療費控除の適用を受ける場合に、そのまま添付できる一定の医療費通知とは、どのようなものですか?

■医療費通知とは、健康保険組合等の医療保険者が発行する医療費の額等を通知する書類のこと、以下の6項目が記載されていることが必要
1.被保険者又はその被扶養者の氏名
2.療養を受けた年月
3.療養を受けた者
4.療養を受けた病院、診療所,薬局その他の者の名称
5.被保険者又はその被扶養者が支払った医療費の額,
6.保険者の名称
※自己又は生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費に関する医療費通知に限定


8.単元株式数の減少

・東証は2018年10月1日を期限として単元株式数を100株に統一する取り組みを実施
・現状94%が100株、残り6%は1,000株
・1000株から100株への手続き=「単元株式数の減少」の手続き
①単元株式数の減少のみ実施
 ⇒取締役会決議(会社法195Ⅰ)

②同時に株式併合も実施(投資単位が低下するため)
 ⇒取締役会決議+株式併合の総会特別決議
(数値例)
 仮に投資単位が100万円(1,000円×1,000株)の場合
 売買単位を100株に変更すると投資単位は10万円(1,000円×100株)となる。
 当時に5株を1株とする株式併合を行えば50万円(5,000円×100株)となる。


9.非適格株式移転を利用したM&Aスキームの実務ポイント

■適格株式移転の要件
・グループ内の適格株式移転or共同事業を営むための適格株式移転に該当する必要あり
⇒株式移転後も完全支配関係が継続することが見込まれる必要あり
⇒株式移転後に株式移転完全子法人株式をグループ外部に譲渡する場合は非適格に。
⇒株式移転完全子法人の資産を時価評価課税した後に株式譲渡。

■平成29年度改正
・帳簿価額が1000万円未満の資産を時価評価の対象となる資産から除外
⇒営業権のほとんどは帳簿価額が0円。実質的に営業権の時価課税が不要となった。

■非適格株式移転を利用したM&Aスキーム
・被買収会社:A社(簿価純資産10億円)
・株主:X氏(A社を100%支配。株式取得価額1億円)
・株式移転:A社を完全子法人、新設P社を完全親法人として実施
・本件株式譲渡価額:30億円 
・論点:譲渡価額30億円と簿価純資産10億円との差額20億円の性格

(1) ケース1:20億円=1000万円を超える土地の含み益のケース
・X氏:A社株主⇒P社株主
・完全子法人A社で評価益を計上。A社に課税。
・完全親法人P社でのA社株式の受入価額:30億円
・この後、買収会社に30億円で売却したとしても、完全親法人P社に課税は生じない。

(2) ケース2:20億円=営業権の含み益(超過収益力部分)
・完全子法人A社では営業権時価評価不要。課税なし。
・完全親法人P社でのA社株式の受入価額:30億円
・この後、買収会社に30億円で売却したとしても、完全親法人P社に課税は生じない。
⇒いずれの当事者においても課税関係を生じさせないことが可能に。
⇒包括的租税回避防止規定の適用を回避する必要あり。
⇒経済合理性や事業目的を説明できるようにしておく必要がある


10.源泉税に関する課税リスクとその対応

■租税条約が国内法と異なる所得源泉地を定めている場合
・日本では使用料についてはその使用地、人的役務の提供については役務提供地が所得源泉地
・租税条約では所得源泉地国を支払者の所在地国とする債務者主義が定められていることがある
⇒租税条約に基づき課税が生じる場合があるため、源泉税の徴収漏れを指摘されないよう注意が必要

■現地税務当局との所得分類に係る見解の相違
・国外取引に係る対価の所得区分については、2国間の租税条約及び国内法の規定による
⇒自社が行っている国外取引に係る所得分類について、税務当局に対して合理的に説明できる準備を行う必要がある


11.PEに関する課税リスク

1.PEとは
事業を行う一定の場所があって、企業がその事業の全部または一部を行っている場所を指す。
※PEの有無は所得の課税関係を決めるうえで重要な事項
2.PEの範囲(日本企業が海外で事業を行う場合、進出国が日本と租税条約を締結しているか否か)
・締結済⇒租税条約
・締結未済⇒進出国の国内法
※新興国では、PEの拡大解釈の傾向あり
※税務当局同士の同意が得られない場合は二重課税もあり
3.駐在員事務所に対するPE認定
・直接的な営業は認められていないが、営業活動と認められるとPE認定
・あくまで準備的・補助的な活動であり、収益獲得に寄与していないことを証明
⇒駐在員事務所の勤務者の行動範囲を定めた活動ポリシーを定め、これに従う


12.アジア事例から見る、移転価格税制に関する課税リスク~文書化の重要性~

■物品販売
日本親会社とアジア地域の子会社、及び在外子会社間取引が調査のターゲット
・在外子会社の所得は低いはず、または高いはず、と安易に前提が置かれてしまう事例多
・シークレットコンバラブル(※1)による課税も目立つ
⇒取引の概要、リスク等について、文書化による準備が重要
(※1)どのような過程を経て独立企業間価格が算定されたのか、当局が開示しない

■無形資産取引
・日本親会社:高いノウハウ提供当等を理由に、受け取るべきロイヤリティの不足を指摘されること多
・在外子会社:赤字の場合は無形資産に価値毀損を根拠に、ロイヤリティの損金否認されること多
⇒ロイヤリティの授受を行うのか、行うならどちらの国で市場調査するかを文書化しておく必要

■市場固有の特徴
⇒マーケットプレミアムやロケーションセービング(※2)等の市場固有の特徴は、価格に影響することから、その恩恵がどちらに帰属するかを事前に当局と協議して文書化が必要
⇒中国やインドでは新興国に帰属する、とする立場
(※2)安価な人件費により利益を創出すること

■文書化不備による罰金
中国やインドでは、不備に関して罰金あり

■(補足)相互協議(※3)・APA(※4)を考慮
・中国やインドネシアでは相互協議が実質機能しておらず、二重課税が放置される実情
・タイではAPAの対応が遅い
(※3)租税条約に適合しない課税を排除するための条約締結国当局間での協議
(※4)移転価格に関する事前確認制度



13.駐在員等の所得税に関する課税リスクとその対応

■日本での課税リスク
出向元法人が出向先法人との給与較差を補てんするために支給する給与は出向元法人の損金に算入される。
ただし、較差補てん金が合理的な額を超える場合、出向先への寄付金として取り扱われる。
昨今給与水準の上昇が著しいアジア地域では、較差補てん金を寄付金として認定される事例が増加している。
⇒原則駐在員の給与は全て海外子会社が負担する企業も増加している。

■現地での課税リスク
日本親会社が給与等の一部を負担することが多いが、
日本において支払われるものであっても駐在地国での役務提供への報酬のため、駐在地国での個人所得税の対象となる。
各国の税務当局も日本人駐在員が日本で給与等の一部を受け取っている事情を把握しているため、日本払いの所得申告漏れの指摘による追徴課税が発生することが増加している。

■みなし給与
海外赴任先での家賃補助、語学研修費用、現地での個人所得税などを日本親会社又は海外子会社が負担した場合は、税務上の給与となる。

■海外出張者への課税
海外出張し、現地で役務提供を行った際の給与は出張先の国内源泉所得に該当し、原則として現地で課税が生じる。但し、短期滞在者免税要件を満たす場合は居住地国で課税が生じる。

※参考
短期滞在者免税要件は以下の3つ
・12ヶ月のうち、源泉地国での滞在日数が183日を超えないこと
・報酬を支払う雇用者が源泉地国の居住者でないこと
・雇用者のPEが報酬を負担しないこと


14.子会社等の判定の範囲の決定における、種類株式等の取扱い

■種類株式とは
剰余金の配当その他の権利が普通株式とは異なる内容の株式

■他の会社の議決権の所有割合の計算方法
(1)原則
期末において所有する議決権の数(※1)÷期末において行使できる議決権の総数
※1:自己株式、完全無議決権株式(株主総会の全ての事項について議決権を行使することができない株式)、相互保有株式は含まれない。

(2)一部の議案のみに議決権を有する種類株式の場合
(1)では期末において行使できる議決権の総数に完全無議決権株式を含まないが、当該場合には含む。

■種類株式として定めることができる種類の内容のうち、議決権行使に影響するもの
(1)議決権制限
株主総会において議決権を行使できる事項が異なる
(2)拒否権
株主総会又は取締役会の他、種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とする
(3)役員選任
種類株主総会において取締役または監査役を選任する

■議決権を実質的に所有するような投資契約や株主間契約
明確な規定がないため、実質的な判断が必要。
※一部の議案のみに議決権を有する種類株式の取扱いに照らして判断することも考えられる。

■留意点
・連結会計基準や持分法会計基準では、支配力基準や影響力基準のような規定や要件がある。
・上記に対し、支配力、影響力の判定に関しては実態を踏まえた判断が必要。


15.新規公開企業、業績予想正確に(保守的に?)

・あずさ監査法人の調べでは2010年~2016年までに上場した企業の4分の1超が、上場時に発表した利益予想を達成できていなかった。

・上場後に下方修正を行った企業が、2016年は33%に対して、2017年は3%のみ。

・2014年、新規公開した企業の4割で業績予想が下振れ。黒字予想から一転して赤字に転落した企業もあり。

・上場時には会社の創業者や出資者が保有していた株を売り出して現金化する場合が多く、上場後に業績予想を下方修正した企業に対しては、投資家から株を高く売るのが目的ではないかとの批判が高まった。

・東証は上場企業の審査を厳格化。企業の上場作業を手伝う証券会社も「投資家の視線を強く意識するようになった」。


16.財産保全会社

オーナーが直接、公開予定会社の株式を保有するのではなく、オーナーが保有する別の会社が公開予定会社株式を保有する会社

・財規上の親会社等となるか?
財産保全会社が、実体のない会社で実質的にオーナーの個人的な持株会社であるような場合には、上場審査上も開示上も親会社等とみなされない。
ただし、事業会社としての意味合いが強くなると、親会社の実体を有するものとして判定され、申請会社は子会社上場として審査対応がなされる。
また、株式上場後に事業会社としての実体が出てくるような場合には、親会社情報の継続開示が求められる。









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2017年11月17日金曜日

11/17 勉強会:株式売渡請求のポイント 他

1.一般社団法人利用の節税スキームに警鐘

■日税連の神津会長が2つの相続税関係の節税スキームに警鐘
(1)一般社団法人を利用した節税スキーム
・富裕層が一般社団法人に資産を移転することで相続税を節税
⇒相続税の課税対象となる不動産や株式を一般社団法人に移転、相続人が理事長等に就任することで実質的に無税で資産移転可能

(2)小規模宅地特例を利用した節税スキーム
・H22年度税制改正では、特定居住用宅地等について要件を満たす対象者は80%減額可能
⇒相続人が資産管理会社を設立、同社に建物を譲渡し自らは社宅として居住することで要件を満たし、相続時に特例を受ける
※要件の一つ「相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと」を満たすためのスキーム
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm

いずれも制度趣旨から逸脱しており今後の税制改正に影響を及ぼす可能性あり


2.有償SO、IFRSとの違いは対応困難

・ASBJは、実務対応報告公開草案第52号「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い(案)」に寄せられたコメントについて検討中
⇒コメントには、実務対応報告案とIFRSで処理内容が異なる点について、懸念を表明するものが複数あり

・IFRS第2号「株式に基づく報酬」では、権利確定条件として勤務条件がある場合のみ、有償新株予約権を報酬として費用計上

・今回の実務対応報告では、勤務条件がある場合のみならず、勤務条件がなく業績条件が付されている有償新株予約権も報酬として費用計上

・ASBJは、ストックオプションを費用計上する等、両者は類似している面もあるが、一方、構造的に異なっている面もある為、部分的な差異を論じることは必ずしも適切ではないし、両者の差異はIFRSの解釈に及ぶ可能性もある為、ASBJだけでは対応困難であるとし、実務対応報告案の変更は行わない方向


3.競馬予想プログラムで大量購入でもハズレ馬券は経費に該当せず

■H27.3月の最高裁判決
裁判所判断:払戻金を「雑所得」としハズレ馬券の購入代金を必要経費として控除可
購入方法:馬券を自動購入するソフトを使用して、長期間に多数回かつ頻繁に的中馬券に着目せず網羅的に馬券を購入

■今回の高裁判決(H29.9月)
裁判所判断:払戻金を「一時所得」とし、ハズレ馬券は必要経費の対象外とする
購入方法:自ら開発した競馬予想プログラムを用いて、予想的中率及び期待値算出のために演算処理行って買い目の馬券を抽出。抽出した馬券と他の馬券購入者が低く評価した馬券とを比較して、より高配当を得ようとする馬券を購入する方法

■一時所得の条文の概略(所基本通達34-1)
・馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用している
・ネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に馬券の的中に着目しない網羅的な購入
・上記の購入方法で多額の利益を恒常的にあげること
・これらの購入方法が経済活動の実態を有すること
⇒上記を満たせば雑所得に該当し、該当しない場合は一時所得と規定されている

■高裁判決は?
・今回の納税者は必ずしも競馬予想プログラムが抽出した買い目の馬券を無差別かつ網羅的に購入していたわけではない。
・8年間のうち3年は損失を発生させているので恒常的に利益を上げていない。
・PCを使用したプログラムを用いて長期間に多数回購入しているが、買い目の的中に着目した購入方法は、一般の競馬愛好家の購入方法と同じである。
(=競馬新聞の印を見て購入する方法と同じ)
⇒上記より馬券の購入が一体の経済活動の実態を有すると客観的に明らかにできないと判断し、一時所得に該当すると判決を下した。

※なお納税者は上告受理申立てを提起中。


4.特徴税額通知、マイナポータル利用見送り

・規制改革実施計画で、マイナポータルを利用して住民税の特徴税額を従業員が直接取得できるようにする案が検討
⇒見送り決定
(理由)
・マイナポータルの普及率が低い
・自治体によって対応が異なることで書面と電子の通知が混在する恐れ
・事前に従業員に承諾を取る手間がかかる

■新制度
(1)事業者は給与支払報告書提出時に電子的送付の同意の有無を報告
(2)eLTAXを通じて事業者に電子的に特徴税額を送付
(3)同意がなければこれまで通り書面で送付



5.税理士法違反のチェックポイント特集

税理士監理官・専門官
⇒税理士法違反行為がみられる税理士等に対する調査を行う。

■事例1 不真正税務書類の作成 
 不正な書類を作成したり、事実に反する申告書を作成した場合は、不正に対しての税理士の関与度を調査
⇒「事実に反する、若しくはおそれのある」行為とわかっていたかどうか。(メール、メモ等の物証の収集)
■事例2 税理士本人の脱税・申告漏れ
⇒税理士法人の代表者や実質的に経営している者の行為も違反行為の対象となる。
■事例3 業務懈怠
 申告書類の作成を依頼されていたにもかかわらず、申告期限まで申告しなかった。
⇒原因が事務所の職員であっても監督者(税理士)の違反行為
■事例4 使用人に対する監督義務
 事務所の職員が、顧問先の不正経理に加担。
⇒監督者だけでなく、当該職員からも聴取を行う


6.LEDランプの取替えにかかる税務処理

従来の蛍光灯からLEDランプへ交換する場合の取替費用の取り扱いは下記のとおりとなる。

■購入する場合
LEDランプ代及び工事費用を修繕費として処理

<参考>(国税庁質疑応答事例)-LEDランプの取替費用-
蛍光灯は照明設備がその効用を発揮するための1つの部品であり,かつ,その部品の性能が高まったことをもって,建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考えられるため,修繕費として処理することができる

■所有権移転外リース取引により取得する場合
リース料総額及び工事費用をリース資産として資産計上し、リース期間定額法で償却費計上
⇒上記<参考>はあくまで「購入」を前提としているため、所有権移転外リースの場合は適用されない

なお、リース期間終了後に買取(購入)する場合であっても、その購入費用は修繕費として処理できない



7.平成29年分 年末調整のポイント

■年末調整の対象となる人や対象とならない人は、どのような人ですか?
・年末調整の対象とならない人は次のとおりです。
1.年調時までに扶養控除等申告書を提出していない人
2.給与収入金額2,000万円超
3.国内に住所も1年以上の居所も有していない人(非居住者)
4.年の中途で退職(死亡退職等を除きます。)した人
5.災害減免法で源泉について徴収猶予や還付を受けた人

■年末調整はいつ行うのですか?
・その年最後に給与の支払をする時⇒一般的に12月中に行う

■年末調整後に給与の追加払や控除対象扶養親族等の異動があった場合
・年末調整のやり直し(再調整)をする
・期限⇒基本は源泉徴収票を給与所得者に交付する翌年1月末日まで

■平成30年分マル扶
・配偶者が源泉控除対象配偶者に該当するかどうかはどの時点で判断するのか
⇒提出する日の現況により判定、直近の源泉徴収票や給与明細書を参考にして見積り
・年の中途で合計所得金額の見積額に異動がある場合、どうすればよいか
⇒扶養控除等異動申告書を給与の支払者へ提出
 給与支払者は上記の提出があった日以後、扶養人数を修正の上、源泉徴収税額の計算を行う
 なお、源泉は遡って修正はせず、年末調整により精算
・控除対象扶養親族の「16歳未満の扶養親族(平15.1.2以後生)」の判定
⇒平成30年12月31日の現況により判定・記載



8.商品券の非行使部分の処理

・収益認識基準の適用指針案52-56項
・発行した商品券などが顧客によって使用されない場合の取り扱い
 ⇒「非行使部分」は「企業が将来において権利を得ると見込めるか」で収益認識タイミングが異なる
・見込める場合⇒顧客の権利行使パターンと比例的に収益認識
(例)
 商品券1,000円を顧客に販売
 10%(100円)を非行使部分と見込む
 商品券が1年目に700円(70%)、2年目に300円(30%)使用された場合、
 1年目は100円×70%、2年目は100円×30%を収益として計上する
・現行の日本基準では一定期間経過後に一括計上が多く、処理が複雑になる可能性あり


9.吸収合併の場合のポイント

■法務
(1) 対象会社(合併消滅会社)の解散
・許認可は必ずしも存続会社に承継されない。
⇒許認可を維持する必要がある場合は他のスクイーズアウト方法を検討

(2) 手続
・存続会社、消滅会社の双方において手続必要
⇒株主総会の承認、株式買取請求の対応、債権者保護手続 等
⇒総会承認は、簡易合併or略式合併の場合は片方もしくは両方で省略可能な場合あり
⇒債権者保護手続は効力発生日の1か月以上前に公告が必要

■税務
(1) 適格合併
・存続会社&消滅会社…簿価により引き継ぎ
・少数株主…合併直前の帳簿価額を譲渡原価として譲渡損益計算。みなし配当発生しない。

(2) 非適格合併
・存続会社…時価で受入+資産負債調整勘定が発生
・消滅会社…時価譲渡のため、譲渡損益発生。合併最終年度の損金or益金に算入。みなし配当が生じるため、源泉徴収義務が発生
・少数株主…交付を受けた金額からみなし配当相当額を控除した金額を譲渡対価として譲渡損益を計算


10.所得拡大促進税制と当初申告要件

■当初申告要件について
・確定申告後に適用し直すことは認められるか?
⇒当初申告要件の定めにより、当初の確定申告で適用を選択しなかった場合は適用不可

■所得拡大促進税制とは
【概要】
・給与等の支給総額が、基準年度と前年度より増加した場合に、
増加した給与額の10%を法人税からマイナスできる制度(法人税額の20%が限度(大企業は10%))
・限度額は平成29年度税制改正により、平均給与等支給額が前年度比2%以上増加している場合は22%に改正
 (大企業の場合は12%)
※平成29年4月1日以後開始事業年度から適用

【詳細】必要に応じて読んでください
(1)適用期間
・平成25年4月1日以後に開始する事業年度~平成30年3月31日までに開始する事業年度

(2)基準年度とは
・平成25年4月1日以後に開始する事業年度のうち最も古い事業年度の「直前の事業年度」
⇒基準年度がない場合、平成25年4月1日以後に開始する最も古い事業年度の給与等支給額の70%相当額
 が基準年度の支給額となる

(3)要件
・給与等支給総額が基準年度より2%~5%増加
・給与等支給総額が前事業年度以上
・平均給与等支給額が前事業年度以上(大企業は2%以上増)

【用語】
・給与等支給総額
⇒給与の総額から、役員報酬、役員の親族等に対する給与、退職手当を除く(賞与、パートアルバイトの賃金含む)
・平均給与等支給額
⇒適用年度の継続雇用者に対する給与等支給額÷継続雇用者の月ごと延べ人数合計
・継続雇用者
⇒適用年度及び前事業年度において給与等の支給を受けた国内雇用者(つまりどっちにもいた人)


11.株式売渡請求のポイント

■法務
(1)概要
・特別支配株主が、当該会社の株主総会決議によることなく、他の株主全員に対し、その保有する株式の全部を、自己に売り渡すよう請求すること。
(2)必要議決権数
・90%
(3)株主総会
・承認不要
・債権者保護手続不要、端数処理手続不要
(4)新株予約権
・個別の同意不要
■税務(完全子会社化が行われた場合)
(1)支配株主
・取得に要する金額=取得価額
(2)対象法人
・税制適格
⇒課税関係なし
・税制非適格
⇒対象法人を時価評価し、評価損益は完全子会社化完了日の属する事業年度で益金・損金処理
(3)少数株主
・譲渡価額と取得価額の差額で譲渡損益を計算
■会計
(1)連結
・追加取得の持分を被支配株主持分から減額
・追加取得により増加した親持分は追加取得した株式の取得価額と相殺、差額を資本剰余金とする


12.株式交換におけるポイント~スクイーズアウト~

完全親子関係を図る方法⇒スクイーズアウトとしては合併に比してより直接的な手法

■法務
完全親会社の手続:総会特別決議(略式※・簡易なら不要)、買取請求の対応、債権者保護
※TOBにより対象会社の90%を取得しておければ、株式交換における対象会社での決議が不要

■税務
・適格株式交換
親会社:子会社株式の取得価額⇒子会社における簿価
子会社:特に調整なし

・非適格株式交換
親会社:株式の取得価額⇒子会社株式の時価
子会社:時価評価損益を益金又は損金に算入

■会計
・個別
子会社株式の取得原価⇒交付した親会社株式の時価

・連結
子会社株式の追加取得の処理に準ずる


13.取得関連費用と税効果

■取得関連費用の取扱

・個別財務諸表
取得時にて付随費用と認められるものは取得価額に含める

・連結財務諸表
発生した事業年度の費用として処理

・税効果
個別財務諸表上の子会社への投資額と連結貸借対照表に差異が生じる。
回収可能性があれば繰延税金資産を計上

・売却時
付随費用のうち、売却に対応する額分、連結財務諸表上で売却損益の調整が必要


14.スクイーズアウトの概要・手続き

■スクイーズアウトとは
M&Aにおいて、会社の株主を大株主のみにするために、少数株主に対して金銭その他の資産を交付し、強制的に締め出すこと。

■吸収合併
・合併により消滅する会社(対象会社)の権利義務の全てを合併後の存続会社(支配株主)に承継
・支配株主が議決権の2/3以上保有で対象会社を完全子会社化が可能。

■株式交換
・株式会社が他の株式会社(合同会社を含む)に発行済株式を全て取得させ、完全親子会社関係を実現。
・少数株主への対価は金銭とし、直接支配会社に移転する方法が多い。
・吸収合併と同様、支配株主が議決権の2/3以上保有で対象会社を完全子会社化が可能。

■全部取得条項付種類株式
・株主総会特別決議により既存の株式全部取得条項付種類株式にする⇒全部取得条項を使用し、少数株主に端数を付与
・平成26年の会社法改正以後、株式併合の手続き整備、株式売渡請求の制度が設けられてから使用が減少

■株式併合
・少数株主の保有株式数が1株未満の端数になるように株式を統合し、少数株主は現金を対価として保有株式を失う。
・平成26年の会社法改正により、法的安定性が担保され、改正前より利用が増加

■株式売渡請求
・特別支配株主(議決権9/10以上を直接又は間接に保有)が対象
・対象会社の承認を得ることで対象会社の少数株主に対して株式の売渡請求が可能
・平成26年の会社法改正により、新たに導入
・株主総会の決議不要、少数株主の有する株式の端数処理不要⇒時間的・手続き面のコスト削減可能



15.IFRSのPL表記が変更に?

IASBで現在下記を議論中。

(1)EBITをP/Lの小計に表示する検討を優先的に進める。
(2)P/Lに投資カテゴリーの導入を検討する。
(3)費用性質法、費用機能法に基づく表示に関するガイダンスを追加する。

(1):(比較可能性のある利益として)EBIT、を表示すべきという提案(過去にもダ
イムラーなどがEBITを表示してい)。
(2):投資収益・投資費用、財務収益・財務費用を独立表示させるという議論。
(3):費用性質法、費用機能法のどちらが財務諸表利用者に有用な情報を提供するか
を判断するためのガイダンスを提供。


16.メルカリ、資金決済法に抵触?

(概要)
・メルカリはスマートフォン向けのフリーマーケットアプリの運営会社
・爆発的な普及により、日本で唯一の「ユニコーン」(企業価値10億ドル以上の未上場企業)と期待されていた。

(詳細)
・メルカリは、自分が物品を販売して得た売上金を、メルカリに預けておくことができる。
・売上金が1万円未満だと、引き出すのに210円の手数料がかかるため、1万円を超えるまでためておく人が多い。
・保管期限は1年間。そのお金で売買を繰り返す。これがクレジットカードや銀行口座を持たない若者にメルカリが爆発的に普及した理由の一つ。

・この仕組みが、資金決済法が定める「資金移動業者」にあてはまるとの指摘あり。
・資金移動業者は万が一、経営不振に陥った場合などに備えて、預かっている資金の100%以上を金融庁に供託金として保全しなければならない。

・メルカリは「資金移動業者には当たらない。売上金は(事業などで使うことのないように)別口座で保全している」と説明。
・しかし、金融庁は「ユーザーの売上金を別口座で保全する方法では、万が一、経営不振に陥った際の利用者保護として不十分」との認識。
・金融法制に詳しい弁護士も「別口座で管理していようと、倒産した場合、弁済の原資に使われ、債権の優先度の高い金融機関に支払われる可能性が高い」と指摘。

(現状)
・経産省の後方支援もあり、最近になって、メルカリが売上金をプールする仕組みは、資金移動業者に相当するのではなく、プリペイドカードや商品券と同じような「前払い式支払い手段」と解釈することで、金融庁と経産省の間では「合意ができた」とのこと。






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