2016年5月20日金曜日

5/20 勉強会:義援金に関する税務上の取扱いFAQ 他

1.株式報奨の収入時期めぐり一部取消裁決
・株式報奨制度により無償取得した株式の収入計上時期はいつか、が争われた事例

■結論
・特段の事情がない限り、株式を無償で付与されたことによる経済的利益は株主になった日に確定したとみるのが相当


2.適格分社型分割(分割法人の処理について)
■事例
分割法人A
・簿価⇒資産1,500、負債1,000
・時価⇒資産2,200、負債1,000
分割承継法人B
・吸収分割にともない資本金300、資本剰余金900増加

■分割法人Aの会計処理
()負債1,000/()資産1,500
()B社株式1,200/()譲渡益700

■分割法人Aの税務処理
⇒適格分社型分割なので、移転資産負債を帳簿価格により譲渡したものとして計算する。
()負債1,000/()資産1,500
()B社株式500
⇒したがって税務調整は以下となる
()譲渡益700/()B社株式700

■別表調整
別表四 ⇒譲渡益過大 700(減算・留保)
別表五()Ⅰ⇒B社株式 700("当期の増減"""のマイナス計上)
別表五()Ⅱ⇒調整不要


3.義援金に関する税務上の取扱いFAQ
■熊本地震に関する義援金に関する個人・法人の課税関係
(1)熊本県下や大分県下の災害対策本部等に対するもの
個人⇒「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象
法人⇒「国等に対する寄附金」に該当し、全額が損金算入

(2)日本赤十字に対するもの
個人⇒日本赤十字の「平成28年熊本地震災害義援金」口座に対して支払った義援金は、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象
法人⇒日本赤十字の「平成28年熊本地震災害義援金」口座に対して支払った義援金は、「国等に対する寄附金」に該当し、全額が損金算入

(3)被災された取引先に対するもの
法人⇒被災前の取引関係の維持・回復を目的として、災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間において支出する災害見舞金は、交際費等に該当せず損金算入可。

※その他NPO法人、募金団体を通じた義援金に関する取扱いもあり

■寄附したことを証する書類
・熊本県下や大分県下の災害対策本部が発行する受領証
・募金団体の預り証
・郵便振替で支払った場合の半券(受領証)
 ※義援金の専用口座に限る
・銀行振込みで支払った場合の振込票の控え
※義援金の専用口座に限る

■寄附金控除の計算(個人)
(1) 「特定寄附金」に該当するもの
[その年中に支出した特定寄附金の額の合計額]-2千円=寄附金控除額

(2)NPO法人等または一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人に対する寄附金
[その年中に支出した認定NPO法人等に対する寄附金の額の合計額-2千円]×40%=

認定NPO法人等寄附金特別控除
[その年中に支出した公益社団法人等に対する寄附金の額の合計額-2千円]×40%=公益社団法人等寄附金特別控除

4.返金伝票綴りは印紙税の対象、過怠税めぐり企業側敗訴
■概要
・日用雑貨の販売業を営む原告企業が作成・保管していた「お客様返金伝票」の伝票綴りは印紙税の課税対象となるかどうか争われた事例

■論点
・印紙税の課税対象となる「判取帳」に該当するかどうか

※判取帳
17号(金銭の受取書など)等に掲げられる文書により証されるべき事項につき二以上の相手方から付込証明を受ける目的をもって作成する帳簿をいう。

■判決
・印紙税の課税対象の「判取帳」に該当する
⇒複数の顧客から金銭を受け取ったことを付込証明を受ける目的で作成している
⇒金銭の受領事実という事項を記載証明する目的で作成された「帳簿」であると判断


5.リスク分担型DB移行時の取扱い固まる
・リスク分担型DB(仮称)について、社会保障審議会企業年金部会でその導入を了承

・一方、企業会計基準委員会で検討している実務対応報告「リスク分担型DB(仮称)の会計処理等に関する実務上の取扱い()」の内容もほぼ固まりつつある。

・リスク分担型DB(仮称)が導入されれば、現在、確定給付制度を採用している企業の相当数が移行すると想定される。この場合、退職給付制度の終了に該当し、会計処理は以下の通りとされている。

(1)リスク分担型DB(仮称)への移行時点で、移行した部分に係る退職給付債務()と、その減少分相当額に係るリスク分担型DB(仮称)への資産の移換の額との差額を損益として認識
()移行した部分に係る退職給付債務は、移行前の計算基礎に基づいて数理計算した退職給付債務と、移行後の計算基礎に基づいて数理計算した退職給付債務との差額として算定

(2)移行した部分に係る未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異は、損益として認識
※移行した部分に係る金額は、移行した時点における退職給付債務の比率その他合理的な方法により算定

(3)(1)(2)で認識される損益の算定において、確定給付制度からリスク分担型DB(仮称)への移行時点で規約に特別掛金相当額が定められている場合、当該特別掛金相当額を未払金等として計上。
計上された未払金等は当該特別掛金相当額の拠出の都度、取り崩す。

(4)(1)(3)で認識される損益は、原則として特別損益に純額で表示する。


6.過怠税とは
(1)印紙税の対象となる課税文書作成時までに、貼付や消印しなかった場合に賦課される税金(罰金)である。

(2)貼付・消印していない場合は、該当する印紙税額の3倍相当額が賦課される。
ただし税務調査前等に自主的に不納付を申し出した場合は1.1倍に軽減される
貼付のみで消印していない場合は、該当する印紙の額面額が徴収される。

(3)罰金のため損金不算入・必要経費不算入である。

(4)主に法人税などの調査と同時に実施されるが、不納付となっている課税文書が大量に存在する場合は、印紙税の単独調査が入ることもある。


7.QAで読み解く消費税の軽減税率通達
Q1:工業用原材料となる塩は軽減税率対象となるか?
A1:軽減対象とならない(飲食用のみ対象)

Q2:食品と食品以外を一括販売し、割引クーポンの使用があった場合は?
A2:軽減と軽減対象外の金額で按分し、割引を適用する

Q3:自販機や通信販売による飲食料品の譲渡は軽減対象?
A3:軽減対象となる

Q4:飲食料品販売を外部委託する際の委託販売手数料は軽減対象?
A4:軽減対象とならない(委託販売手数料を販売金額から控除している場合は、両建て処理が必要)

Q5:取引先から交付された請求書等に記載漏れがあった場合は?
A5:交付を受けた請求書等に、自分で追記することができる


8.法人税:外国子会社配当益金不算入制度の改正
■外国子会社配当の益金不算入制度(現行)
内国法人が発行済株式の25%以上を有する外国子会社から配当等を受けた場合、その配当等の額の95%相当額を益金不算入とすることができる。

■改正
その配当等の額が、外国子会社の所得の計算上損金算入される場合には適用対象外とする。

■適用時期
平成2841日以後開始事業年度に受ける配当等から適用。
但し、2841日時点で既に保有している外国子会社株式の配当については一定期間適用対象外とする(=従来通り益金不算入となる)。


9.所得税:新幹線通勤と最も経済的かつ合理的な運賃
通勤手当の非課税限度額は、「最も経済的かつ合理的」な経路で通勤した場合の金額とされる。

新幹線通勤は「最も経済的かつ合理的」な経路と認められ得るのか?
⇒認められ得る。

■判断基準
例えば
・最も短い時間で通勤できるため
・最も安い運賃で通勤できるため
といった理由があれば、OK

■ただし
グリーン車などを利用したいわゆる特別車両料金については、「最も経済的かつ合理的」とは認められない。


10.特定譲渡制限付株式
・リストリクテッド・ストック
 一定期間の譲渡制限が付された現物株式を報酬として付与するもの
・平成28年度改正では、役員給与として支給された一定の譲渡制限付株式による給与を、届出が不要となる
 事前確定届出給与の対象とする制度整備が行われた
・役員等による所得税課税時期は、株式交付日ではなく、譲渡制限解除日となる。


11.特別利害関係者等との不動産の賃貸借
(1)特別利害関係者等と申請会社との間で不動産の賃貸借取引が行われている場合、原則として上場前に当該取引を解消することが必要である。
ただし、以下の諸条件をすべて満たす場合は、取引の継続が認められることもある。

1.当該不動産が、生産設備及び営業用設備等、申請会社の主要施設に係るものではなく、重要性が乏しいと判断されるものであること。

2.当該不動産の価格が比較的高額で、資金的な面から、早期に申請会社または特別利害関係者等が買い取ることが困難な状況にあること、または解消することに経済的合理性がないこと。

3.適当な代替物件がないこと。

4.取引条件が不動産鑑定士の評価または近隣の類似物件の相場に基づく等、適正と判断されるものであること。


上記の点においては、証券会社等を交えて事前に十分に検討しておく必要がある。









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