2015年10月23日金曜日

10/23 勉強会:国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A(3) 他

1.非常勤役員への日当を損金不算入と判断

・定額の役員報酬を受けている非常勤役員へ支払った会議日当が、定期同額給与に該当しないため損金不算入と判断された事例

■審判所の判断
・定期同額給与とは
 予定された支給基準に基づき、毎日、毎週、毎月のように1か月以下の期間を単位として、規則的に反復または継続支給される。
 各支給日ごとの支給額が同額である給与。

・非常勤役員への会議日当の支給方法、支給回数
 理事会出席に関するもの:当日払い
 監査業務に関するもの :数日分まとめ払い
 各月の支給回数    :0回から5
 ⇒支給期間の単位がまちまちで、規則的に反復しているとは言い難いため定期同額給与に該当せず損金不算入と結論付けた。

※出張日当について
 会社の出張旅費規程などの規定に基づき役員に支払われる出張日当は?
 ⇒旅費として処理できる(給与ではない)
 根拠:所得税法の規定で、非課税とされる旅費の範囲というものがあるため。
    支給額が適当かどうかの判定は別途必要。
    出張旅費規程のない会社が出張日当を支払った場合は、給与となる。


2.超富裕層の管理体制を強化、国税当局の対応が明らかに

■超富裕層に関する管理・調査体制の強化を図るために国税庁が策定した試行通達の内容が明らかに
・見込保有資産総額(国外財産調書や財産債務調書などにより把握)などの判断基準により指定される
⇒「形式基準」と「実質基準」あり

・その個人だけでなくその個人の主宰法人や関連する個人・法人を含めた名簿が作成・管理される

・対象者は3つの区分(A・B・C)に分けられる
⇒A区分=課税上の問題が想定され調査企画の着手が相当と認められ、資料情報等を集約・分析後、調査が企画される
⇒B区分=Aには該当しないものの多額な保有資産の異動が見受けられるなど継続的な注視が必要と認められる
⇒C区分=A/B区分以外で経過観察が相当と認められるもの

・平成27年事務年度においては東京・大阪・名古屋の局で実施

・全国的な展開は平成28事務年度以降において検討


3.動き出した消費税の軽減税率

・平成294月の消費税率10%引き上げと同時に軽減税率の導入を検討している
・議論が進められているが、行方がいまだ不透明なままとなっている

■当初案(税率は10%単一方式)
・レジ等において「マイナンバーカード」を提示することで
 消費税2%分相当をポイント還元。
 消費者はパソコン等で還付申請
 ⇒事業者への負担が軽いが、消費者への負担が重く、特に高齢者が対応できるかが問題

■公明党案(請求書等保存方式)
・請求書に10%と8%の両方の記載がされている方式
・請求書の交付/保存をしていることで仕入税額控除が取れる仕組み
・免税事業者/課税事業者ともに今までと基本的に変わりはない
・ゆくゆくはインボイス方式への切り替えを検討

EU方式(インボイス方式)
・登録事業者が消費税を記載したインボイスを発行する
・事業者番号の記載があるインボイスの保存が仕入税額控除の要件
 インボイスに記載された消費税額を基礎として消費税を計算
・免税事業者である売り手は税額を記載したインボイスを交付できない
 (仕入税額控除が取れない。課税事業者選択で仕入税額控除可能)
・買い手も免税事業者からの仕入は仕入税額控除の対象外


4.今週の専門用語~審査請求~

【国税不服申立制度】
■現行
 納税者は、処分に不服がある場合、原則として国税不服審判所長に対して審査請求できない
 (事前に原処分庁に対して異議申し立てをし、異議決定を経る必要がある。)
 なお、審査請求期間は処分があったことを知った日の翌日から「60日以内」

■改正後(平成2841日以降)
 納税者は、処分に不服がある場合、国税不服審判所長に対して審査請求できる
 (事前に原処分庁に対して異議申し立てをし、異議決定を経る必要はない。)
 なお、審査請求期間は処分があったことを知った日の翌日から「3ヶ月以内」

⇒改正により、
 ・納税者の選択により、直接審査請求できるようになった。
 ・審査請求期間が延長した。


5.年金機構のマイナンバー制限で実務は?

マイナンバー法の改正により、日本年金機構は一定期間、マイナンバーの利用ができなくなった。
5月末に発生した個人情報流出に伴い、年金機構側の情報管理に不安があるため。

H2911日以降に提出する書類への影響は?
⇒従来通り、マイナンバーを記載して年金機構に提出する。
 ただし、厚労省は年金機構にマイナンバーを知らせない仕組みを検討中で、今後、実務的な対応を定める予定。


6.国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQA(3)

(1)リバースチャージ方式とは?
 ・国外事業者から「事業者向け電子通信利用役務の提供」を受ける国内事業者が、国外事業者の代わりに消費税を納税する方式。
 ・(例)Google AdWordsを利用し、リスティング広告代1000円支払った。
   -Googleへの支払は1000円のまま変わりなし。
   -消費税申告時、1000円に対する消費税80円を納付する義務あり。
    ※ただし、1000円分は仕入税額控除の対象となる。
   -仕訳
    広告宣伝費 1000 / 預金    1000
    仮払消費税    80 / 仮受消費税   80
 ・リバースチャージ方式の対象となる支払を、「特定課税仕入れ」といい、帳簿に「特定」などと記載する必要あり。

(2)リバースチャージ方式の対象者
 ・免税事業者、簡易適用者、課税売上割合95%以上の事業者はリバースチャージ方式の納税義務なし。
  ※今までどおり、国外企業からの広告サービス等は課税対象外。

 ⇒一般課税 かつ 課税売上割合95%未満 の場合のみ考慮する必要あり!

(3)「事業者向け電気通信利用役務の提供」の判断
 ・個別契約などで、明確に事業者向けであることが必要
 ・個人も利用できるサービスを、法人が申し込んだ場合などは該当しない
 ・該当取引は、請求書に「リバースチャージ方式対象」である旨が記載されている
  ※請求書を発行する国外事業者に記載義務あり
  ※ただし、該当取引にも関わらず国外事業者が記載を怠ったとしても、納税義務はなくならないので注意


7.子会社間における無対価合併の適格判定など

■無対価合併
被合併法人の株主である法人に、合併法人の株式その他の資産が交付されない合併をいう。100%子会社間の合併など。

親会社A
100 ↓100
B   C

BCを合併した場合に親会社AB社株式が交付されない場合には無対価合併となる。

■完全支配関係がある無対価合併の適格要件
 その合併前に次のイからニまでのいずれかの関係があること
イ 合併法人が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ロ 一の者が被合併法人及び合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ハ 合併法人及びその合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ニ 被合併法人及びその被合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係

■親会社Aの仕訳
B株式/C株式
⇒被合併法人株式の帳簿価額と同額だけ合併法人株式の帳簿価額を増加させる


8.所得税:海外出張にかかるコストの給与課税について

会社が負担する海外出張にかかるコストのうち事業との関連性が乏しいものについては、給与課税の要否に留意が必要。

例えば海外出張期間中の休日にプライベートのレジャーに興じるケースでは要検討。

渡航費用についての考え方
渡航の主要目的、工程の大半がビジネスであれば、旅行工程にレジャーが含まれていても全額を旅費として取り扱うことが可能。
(給与課税不要。按分等は必要ない)

出張手当、実費精算についての考え方
 ※出張手当の性質
  ・出張にかかるコストの補填
  ・遠隔地での生活や業務による心身への負担の見合
実費精算が行われるケースにおいて休日に私用のゴルフをする場合、休日分の出張手当を会社が負担する合理性は低い。
コストの補填の性質は無い筈であるし、遊んでいるので有れば心身の負担の見合いも無さそうだから。
(休日分の手当も支給されている場合には給与課税の検討が必要)


9.監理銘柄

・上場廃止基準に該当するおそれがある場合、東証が指定する。

要件例
・有報等の虚偽記載の影響が重大である
・監査報告書における不適正意見や意見を表明しない旨が記載されその影響が重大であるなど

・通常通り売買は可能
・上場廃止基準に抵触しないと判断された場合には指定も解除される
・現状9社

監理銘柄⇒整理銘柄⇒上場廃止


10.国外財産調書 2014年分

・海外に財産5,000万超の個人が対象。
2013年は5,600名弱 ⇒ 2014年は8,200弱が届け出。
・総額3.1兆円のうち、1.7兆円が有価証券、0.5兆円が預貯金、0.3兆円が建物

・故意の不提出や虚偽記載は、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」






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