2015年3月30日月曜日

3/27 勉強会:所得拡大促進税制 ポイントチェック 他

1.遺留分の民法特例、兄弟姉妹・親族外承継も対象

■まとめ
・事業承継税制が改正された
 ⇒親族外承継が可能に
・それに合わせて、「遺留分に関する民法の特例」も今国会で改正される予定
 ⇒後継者に「兄弟姉妹」、「親族外」も含める
・施行は公布の日から1年以内

■「遺留分に関する民法の特例」とは
・後継者を含めた推定相続人全員の合意の上で後継者に贈与等された自社株式について
 (1)遺留分の算定基礎財産から除外、または
 (2)遺留分の算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定
 することができる制度
・現時点では、後継者が現経営者の推定相続人に限られている

■遺留分とは
・相続人のうち、配偶者や子供などに最低限の相続権を保障するもの
・分配された財産が遺留分に満たない場合は他の相続人から取り戻すことができる


2.関係会社間での上場株売却で寄付金認定

・グループ会社の内部事情により終値の9割相当額で売却した
⇒上場株式の時価=特段の事情のない限り取引日の終値、
ただし個別の事情などがある場合には、終値を基準として個別の事情などを勘案して時価を判定
⇒税務署は、終値との差額を寄付金と認定した

・東京地裁の判決
寄付金課税をした更正処分は適法であると判断


3.今月末までに株式保有で50%益金不算入も

平成27年度改正で受取配当等の益金不算入規定の見直しが入り、株式の保有に関する要件の確認が必要となる。

■不算入割合
(現行)
 (A)株保有割合100%   100/100
 (B)株保有割合25%以上 100/100
 (C)上記以外の株式    50/100

(改正後)
 (1)株保有割合100%    100/100
 (2)株保有割合1/3超  100/100
 (3)その他の株式     50/100
 (4)株保有割合5%以下  20/100

■留意点
(2)にするためには、6ヶ月以上保有してなければいけない
 ⇒継続保有要件
 ⇒3月決算の会社は、今から(2)にしたくても不可能

(3)にするための、継続保有要件はない
 ⇒決算時点で、5%超保有していれば良い
 ⇒今からでも(4)に該当する株を、買い増しで(3)に引き上げ可能


4.在外子会社の会計処理、3月中に公表へ

■「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」
(以下、「当面の取扱い」)の改正案が公開草案から内容面での変更なく公表される模様

■「当面の取扱い」とは
 連結対象の海外子会社のF/Sを作成する際、「一定の条件」を満たした場合、日本基準を採用しないことを容認するもの(原則は日本基準を採用すべき)
(条件)
(1)代わりに採用する基準がIFRS or 米国会計基準
(2)日本基準と取扱いが異なる項目について修正

たとえば、
          IFRS or米国会計基準  日本基準
・のれん      非償却       ⇒ 20年以内の規則的償却

・少数株主損益   当期純利益に含む  ⇒ 当期純利益に含めない。

など

■改正内容
(1)修正項目について
・のれん
 従来は、IFRS or米国会計基準ともに非償却⇒修正する旨の定め
 米国会計基準が改正(非公開会社では償却の選択可)⇒「非償却の場合」、修正する旨の定めに変更

・少数株主損益
 修正項目から削除
(日本基準の改正によりIFRS or米国会計基準との間で取扱いに差異がなくなったため)

など

(2)適用時期
 平成2741日以後開始する連結会計年度の期首より適用


5.出国時課税、長期出張にも適用

■出国時課税とは
・海外移住後に株の譲渡益回避を防止するための措置
・H2771日以後に国外転出する
・出国時の評価額の合計額が1億円以上である、株式・国債・有価証券等を保有している
・対象者は、出国時前の10年内で5年超国内に住所を有していた居住者

■Q&A
Q:外国人は課税対象か
A:外国人であっても居住者であり、上記を満たせば課税対象となる。
※居住者の要件⇒国内に住所を有する者
 ∴従って国籍を問わず外国人で5年超居住していると課税の対象となる  

Q:長期海外出張や留学の場合は?
A:出国の理由が長期出張等であっても、
国内に住所及び居所を有しなくなる場合は課税の対象となる

  ※出国の理由は判定の有無に影響なし


6.青色欠損金控除額の加算で理由提示不備

【審判所事例】
・青色申告の承認が取消に
⇒それに伴い、原処分庁が青色欠損金控除額を所得加算する更正を実施
⇒更正通知書に更正理由を記載せず

【判断】
・更正通知書に更正理由がないため、更正は無効
・「青色申告承認の取消に伴う更正」が明らかであっても、書面に記載しなければダメ


7.所得拡大促進税制 ポイントチェック

■適用要件
(1)雇用者給与等支給増加額≧基準雇用者給与等支給額×2%(改正前5%
(2)雇用者給与等支給額≧比較給与等支給額
(3)平均給与等支給額>比較平均給与等支給額

■平成263月期分の上乗せ適用
26年改正により、平成263月期において(1)の増加割合が2%以上だった場合で、平成273月期においても適用要件を満たしている場合、上乗せ適用が受けられる。

∇ケース別判定
         <ケース1>    <ケース2>     <ケース3> 
263月期    2%以上5%未満  2%以上5%未満   5%以上(適用を受けなかった)
273月期    2%以上         1%         2%以上
上乗せ適用有無   有         無         無

(まとめ)
前期・当期ともに増加割合2%以上の場合、当期に2年分適用してよい。
ただし、前期に適用が受けられたのに受けなかった場合を除く。


8.法人税:太陽光発電 系統連系工事費の税務上の取り扱い(国税庁)

■系統連系工事とは
 発電業者の太陽光発電設備を電力会社の電力網に接続するための工事のこと。
  工事費用は発電業者が負担し,その設備は電力会社に帰属する。

■法人税上の取り扱い
 ・繰延資産として扱う(20万円未満は一時の損金処理が可能)
   ※発電設備本体にかかる事業供用費用としては扱わない。
 ・支出の効果の及ぶ期間にわたって償却する
 
■支出の効果の及ぶ期間
 下記のいずれかの期間による償却であれば、妥当と判断される可能性が高い。
 ・無形固定資産である「電気ガス供給施設利用権」に準じて【15年】。
 ・売電契約が有期で、自動更新条項が無い場合にはその【契約期間】。
 ・売電契約が実質的に期間の定めがないものである場合には、売電設備が10kW以上であれば【20年】,その他は【10年】。


9.相当でない理由

公開会社+大会社&有報提出が義務
⇒社外取締役を置いていない場合、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を総会で説明する&総会参考書類と事業報告に記載する

⇒「相当でない理由」としてはどのような内容がOKか?
・社外監査役が2名以上いる
・社外監査役が十分に機能している
・適任者が不在
等の説明ではダメ。

「社外取締役を置くことがマイナスの影響を及ぼすような事情を開示する必要がある」

H27.3末に社外取締役はいないが、H27.3期の総会で選任する場合
⇒総会参考書類への記載は不要
⇒総会での説明と事業報告への記載は必要
⇒この場合の「相当でない理由」の説明は、比較的簡潔なものでOK


10.法人税関連のチェック事項

1. 受取配当金
⇒ 配当支払法人の区分に留意
※完全子法人株式なのか、関係法人株式に該当するのか
2. 減価償却費
⇒ H26120日~H26331日の間に取得した生産性向上設備で特別償却制度を適用する場合、H273月期に特別償却費を計上。
3. 貸倒引当金
⇒ H273月期は、改正前の引当金繰り入れ限度の25%まで損金算入可能
4. 欠損金
⇒ 企業グループ内の再編で、みなし共同事業要件を満たさない適格合併
⇒ 引き継げる欠損金が一部制限される。
5. 中小企業税制
⇒ 中小企業税制は、特例の種類によって、適用できる企業の範囲が異なるため留意
6. タックスヘブン対策税制
⇒ 間接保有割合の判定を行うタイミングが変更
※従来の配当事業年度末時点から、配当基準日時点の保有割合で判定へ変更

■その他重要事項
1. 税効果会計
 ⇒ 法人税率の変更(引き下げ)が公布されたら、DTADTLの取崩しが必要
2. 消費税
 ⇒ 金銭債権の譲渡の取り扱いが、有価証券の譲渡の場合と同様に改正
3. 事業税(外形標準課税)
 ⇒ 関連会社間で出向者の受け入れがある場合、報酬給与額計算に留意


11.平成26年度改正に係る法人税関連のチェック事項

■交際費
 ・仮払交際費は減算調整&交際費の額に含めているか
 ・資産の取得価額に含まれている交際費について取得価額の調整計算を行っているか
 ・中小法人の有利判定を行っているか(800or飲食費50%)
 ・控除対象外消費税の計算は適切に行っているか

■所得税額控除(復興特別所得税)
 ・所有期間の計算は適切か(適格組織再編等による引継は考慮しているか)
 ・所得税額は全額加算調整されているか

■税額控除
 ・税額控除限度額(法人税額の10%)を超過する場合には、特別償却制度の併用を検討したか

■地方法人税
 3月決算法人では平成283月期からの適用となるので平成273月期の申告には直接関連しないが、当該改正を受けて実効税率が変わっているので、税効果会計に注意する

■その他
 ・生産性向上設備投資促進税制
 ・研究開発税制
 ・所得拡大促進税制・雇用促進税制
 ・事業再編促進税制・ベンチャー投資促進税制
 ・中小企業投資促進税制


12.改正会社法の要点(社外取締役を置くことが相当でない理由の説明)

・概要
改正会社法(51日施行)では社外取締役を置かない上場会社等は定時株主総会等で社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない。

・説明内容
社外取締役を置くことがかえって会社にマイナスの影響を及ぼす事情を説明しなければならない。


13.決算日が異なる子会社の連結調整と後発事象の取り扱いについて

1)親子で決算日が異なる場合の取り扱い
・原則:子会社で仮決算
・例外:差異が3か月超えない場合、仮決算不要+親子間取引(重要な不一致)を調整

2) 重要な不一致とは
・連結内部の重要な取引
※連結外部との重要な取引は調整不要→そもそも仮決算を行うべきで調整事項ではない

3)後発事象の考え方
・子会社の後発事象の基準日は、子会社の決算日とする(親会社の決算日ではない)
・子会社の後発事象を考えるうえでのポイントは子会社の決算日と監査報告書日(※)
(※)決算日~監査報告書日までの事象は修正後発事象、監査報告書日の後の事象は開示後発事象

(前提)子会社決算12月、親会社決算3月の場合(子会社の方が先に決算が来る場合)
→子会社における開示後発事象は親会社の連結決算で修正の可能性あり。また連結決算で修正しなかったとしても、重要性に応じて親会社で開示後発として取り扱うか検討する。


14.グローバル節税 アップルの事例

アップルのグローバル節税の肝の1つが「非居住法人による二重非課税」

・米国アップル本社の下に、「アップルオペレーションズインターナショナル」(以下AOI)という会社がある
AOIはアイルランドの法人だが、役員3名、従業員0名、役員3名のうち2名は米国在住。

米国の課税基準:「本店所在地基準」⇒AOIの本店はアイルランドなので課税しない
アイルランドの課税基準:「管理支配地基準」⇒AOIの実質的管理は米国で行われているので課税しない


米国側でAOIの法人格を否認することは非常にハードルが高い。








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