2015年1月9日金曜日

1/9 勉強会:法人税:美術品等の減価償却の取り扱い確定版 他

1.平成26年分所得税確定申告のチェックポイント

■平成22年度改正で平成26年分から適用
 ・NISA
  非課税口座内で管理されている株式等に係る配当、譲渡益が非課税になる

■平成2312月改正で平成26年分から適用
 ・白色事業者の帳簿書類の備え付け等

■平成25年度改正で平成26年分から適用
 ・住宅ローン控除の限度額(消費税の税率変更に係る部分)
  年末残高の限度額4,000万円、控除限度額40万円 控除期間10

 ・雇用拡大税制

 ・所得拡大税制
  青色申告を提出する個人に適用


2.Q&Aで理解する「出国時課税制度」の全貌

1)出国時課税制度とは?
・巨額の含み益のある株式等を保有するものがキャピタルゲインが非課税となる国へ移住後、これを売却することで譲渡益課税を回避する”節税”を封じる制度

(2)対象資産は?
・株式、国債、社債など所得税法上の有価証券、匿名組合契約の出資持分、デリバティブ
 ただし”出国時”の評価額の合計額が「1億円以上」の場合

(3)適用対象者は?
・出国直近の10年以内で5年以上居住者であった者

(4)納税猶予の対象となるには?
・出国時に「担保」を提供する、かつ納税管理人の届出をすることが条件
※出国期間中に売却をせず「5年以内」に帰国すれば免除される

(5)出国期間中に納税猶予対象資産の一部を売却した場合は?
・売却した資産に係る納税猶予のみが終了

(6)ビジネス上の理由等で5年超の出国となる場合、納税猶予の延長は認められるか?
5年間の延長が認められる

(7)当人は出国せず、海外に居住する息子に時価2億円の株式を贈与した場合は対象となるか?
・対象となる

(8) 出国時課税制度の適用日は?
・平成2771日を予定


3.財産債務明細書の記載事項に「取得価額」

27年度改正で財産債務明細書について一部見直し
※財産債務明細書
 個人の、12/31時点における財産と債務の一覧を記載したもの

■変更点
(1)提出基準
 ・現在  … 所得が2千万円超
 ・変更後 … 所得が2千万円超かつ総資産1億円以上

(2)記載事項の充実化
  … 所在地や銘柄の記載や時価に加え、取得価額の記載

■背景
・出国時課税制度の導入によるもの


4.後発的事由に基づく更生請求、対象となる判決の判断基準を示す

(論点)
 高裁:後発的事由に基づく更生の請求の事由である「判決」(通則法232項一号)とは、「申告に係る課税標準または税額の計算基礎となった事実と異なる事実を前提とする法律関係が判決主文で確定したと同視できるような場合」と解釈※

(事例)
(1)相続人:相続により取得した株式の評価額を時価@1,083円とし、相続税を申告
(2)相続人:被相続人が生前に当該株式について譲渡契約した譲渡価額@642円と上記時価@1,083円との差額について譲受人に対し損害賠償請求
(3)裁判所:被相続人と譲受人との間に当該株式を上記譲渡価額@642円で譲渡する旨の合意あり⇒請求棄却
(4)相続人:当該株式の評価額を上記譲渡価額@642円に修正する旨の更生の請求
(5)税務署:更生の請求を認めず
(6)相続人:(3)の判決は「判決」(通則法232項一号)に該当⇒税務署の処分の取り消しを求める訴訟を提起
(7)地裁:(3)の判決は「判決」(通則法232項一号)に該当しない⇒請求棄却
(8)相続人:控訴
(9)高裁:※と判断し、(3)の判決は「判決」(通則法232項一号)に該当しない⇒請求棄却


5.調査同席の相続人、質問検査の可否は?

相続税の調査に伴う事前通知をする場合において、相続人が複数いる場合はどうするか。
⇒実地調査の場で質問する相続人に対してのみ事前通知される

)相続人A・B・C3人いる場合の通知

ケース1
A、B、C3人とも立ち合いの場合
3人に質問する場合は、全員に事前通知される。

ケース2
Aのみ調査に立ち会い、B及びCは立ち会わない場合
⇒Aのみに事前通知される。
 B及びCは質問を行わない場合は事前通知されない
 ただし相続税の調査を行う旨の連絡する場合あり

ケース3
事前通知されなかった相続人が調査に同席した場合、質問検査を行うことができるか

⇒事前準備の段階で同席者への質問を行うことに問題がないこと。
 またその場で同席者の承諾を得られた場合に限り行う。


6.米軍基地で資産譲渡、消費税問題で裁決

(1)審判所事例
・日本の業者が、在日米軍基地内で米国軍隊の構成員等に対し家具や雑貨類の商品販売を行った。
⇒消費税の課税区分はどうなるか?

(2)結論
・商品販売は、『非課税売上取引』

(3)理由
・国内法である消費税法よりも、日米地位協定の規定が優先される。
・日米地位協定は下記内容となっている。
 (A)本件商品販売(売上)に消費税は課税されない。
 (B)本件商品販売に係る商品購入(仕入)については消費税が課税される。

(A)より、非課税取引 or 免税取引 となる。

⇒免税取引とすると、仕入商品について仕入税額控除が可能となり、
実質的には仕入に消費税が課税されない。
(B)の要件が満たされない。

⇒非課税取引とすると、仕入商品について仕入税額控除ができないので、仕入に消費税が課税される。
(B)の要件を満たす。


7.法人税:美術品等の減価償却の取り扱い確定版

■改正前の取り扱い
・美術年鑑に載っていない
・代替性があるかどうか判別不明の場合で120万円未満の美術品
⇒減価償却できる

■改正後の取り扱い
・代替性があるかどうか判別不明の場合で1100万円未満の美術品
⇒減価償却できる
(注 古美術品等で代替性がないものは金額に関わらず減価償却不可)

■適用開始時期
・平成2711日以後に取得する美術品について適用。

■経過措置(対象⇒平成261231日以前取得の美術品で改正後の取り扱いに該当するもの)
平成2711日以後最初に開始する事業年度において減価償却資産として処理した場合にはこれを認める。この場合その事業年度開始の日に取得したものとすることができる。

(例)3月決算法人が平成261231日に29万円の美術品(代替性不明)を購入した場合

平成273月期⇒減価償却できない
平成283月期⇒少額30万円未満の減価償却可


8.法人税:分掌変更が退職と同等とはいえず「役員退職給与」に該当しないと判断

(審判所)
■事例
役員の分掌変更に伴って支給された『役員退職給与』について"不相当に高額な部分"であるとして一部の損金性を否認された事例で、国税不服審判所による裁決がなされた。
納税者は当該『役員退職給与』に"不相当に高額な部分"は無い旨を主張していた。
現在東京地裁にて訴訟が提起されている。

■審判所による判断
本件の『役員退職給与』はそもそも税務上「役員退職給与」に該当しない。
したがって、"不相当に高額な部分"の有無を判断するまでもない。
 という税務署による否認判断よりも更に厳しい裁決がされた。

■判断理由
・分掌変更が実質的な退職として扱われる例として、通達で下記を定めている。
 (1)常勤役員が非常勤役員になったこと
 (2)分掌変更後の役員給与がおおむね50%以上減少したこと
 いずれの例示においても、法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者は除かれている。

・下記の事実関係より、対象の役員が分掌変更後も主要な地位を占めていたと判断した。
 (1)同族関係者以外の役員がいない同族会社であり、経営判断への関与度の低下具合が判断できない。
 (2)分掌変更後も主力商品の製造管理を行っていた。
 (3)分掌変更後も銀行との融資の会議に参加している。
 (4)分掌変更後も代表取締役の名刺を配っていた。
 (5)発行済株式の過半数を保有していた。


9.みんなのウェディング 粉飾 12/22

・内部統制報告書に「開示すべき重要な不備」がある旨を記載すると公表
H26.9に実態のない売上を計上 社内調査で発覚
・同社従業員の親族のウェディング施行にかかる1200万円の売上について、
 実際はウェディング施行は行われておらず、プロモーション撮影を行ったのみ。
 売上代金は代表取締役の個人資金から拠出されていた
・今後は
 「職務権限や職務分掌の見直し」
 「決算財務報告プロセスの強化」
 等の再発防止策を講じ、内部統制の改善に努めるとのこと。


10.包括利益の組替調整(リサイクリング)~日本基準とIFRSの考え方の違いに基づく説明

(利益の考え方)
 日本基準:当期純利益を使用した指標を評価基準として重視 → 中長期的視点
 IFRS:BSを重視 → 今売ったらいくらか?という短期的な視点

(利益認識の違い)
 例:投資有価証券の評価 取得原価1,000X1期末1,500X2期売却時1,800
  日本基準:
   X1期末   投資有価証券 500/包括利益 500(包括利益500、純利益0
   X2期首   包括利益 500/投資有価証券 500
   X2期売却時 CASH 1,800/投資有価証券 1,000
               /純利益     800(包括利益0、純利益800
    ⇒日本基準では評価差額金について戻入を行う
    ⇒利益500が包括利益と当期純利益で2回計上されることになる(リサイクリング)
  IFRS:
   X1期末   投資有価証券 500/包括利益 500(包括利益500
   X2期首   仕訳なし
   X2期売却時 CASH 1,800/投資有価証券 1,500
               /包括利益    300(包括利益300
    ⇒評価差額の戻入は行わないため、利益の組替もない。


11.使える補助金・助成金vol.14「トライアル雇用奨励金」

・(対象者)
事業主

・(要件)
職業経験、技能、知識等から就職困難な求職者を、ハローワーク等の紹介で試行雇用すること

・(受給内容)
対象労働者1人につき4万円(×3ヶ月まで)

・(手続き)
開始前に「実施計画」を、トライアル雇用終了後1ヶ月以内に「支給申請」をハローワークに提出








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