2014年11月8日土曜日

11/7 勉強会:商品券・カタログギフトに係る消費税の取り扱い 他

1.民法(債権関係)の見直しに関する重要ポイント

■まとめ
・民法の債権関係の規定が約120年ぶりに改正される
・消滅時効の取扱いが大幅に変わる
・売上債権を担保に融資を受けることが可能になる

■消滅時効
①現状(起算時点:権利行使をすることができるときから)
 ・原則 :10年 
 ・職業別:13
 ・商事 :5
②改正案
 ・原則 :5年(起算時点:知ったときから)
       :10年(起算時点:権利行使をすることができるときから)

■売上債権を担保に融資を受けることが可能になる
①現状
 ・債権者と債務者の間で「債権譲渡禁止特約」がある債権の譲渡は原則無効
②改正案
 ・「債権譲渡禁止特約」がある債権の譲渡も原則有効
  …これにより、中小企業は売上債権を担保に金融機関から融資を受けることが可能になる
 ・債権が担保に供された場合も、債務者は本来の債権者に弁済すれば免責


2.実地調査の件数が通則法改正前の4割減

・国税通則法改正の影響で所得税・消費税の実地調査の件数が2年連続(H24,25年)で減少
⇒改正前と比べ4割減

・要因は?
⇒実地調査以外の多様な手法の活用
1件に要する調査日数の増加

ただしH264月~6月の件数は前年比129%となり回復傾向にある。


3.システムキッチンの取替費用は資本的支出

■事例
 システムキッチンとユニットバスの取替費用は修繕費か資本的支出か
 ⇒審判所は全額が「資本的支出」と判断

■判断基準
 ①台所と浴室は、建物と機能的に一体不可分な内部造作であること
 ②定期的に行っている取替工事ではない
 ③既存の台所設備・浴室設備を補修・交換したものではない

 ※請求人は建物の基礎や柱に影響を与えない程度の工事なので、
  現状維持費(修繕費)として主張をしていた。

⇒維持管理の工事ではなく、建物の価値を高めた工事と判断


4.繰越欠損金の控除限度割合、所得の50%

【現行】
・繰越欠損金のうち、当期の所得と相殺できる限度は、
 -大法人(資本金1億円超)   所得の80%20%部分は必ず課税)
 -中小法人(資本金1億円以下) 所得の100%
・欠損金を繰り越せる期間は、9

27年度改正】
・大法人の控除限度割合が、50%(所得の50%が必ず課税)となる可能性あり
・中小法人については、現状維持(100%)の可能性高い
・欠損金の繰越期間は、現状維持(9年)の可能性が十分ある
 ※期間を延ばすと、帳簿の保存期間も延長しなければならなくなるため


5.被災雇用者等の税額控除と当初の申告要件

■被災雇用者等の税額控除とは
復興産業集積事業を実施する法人が被災雇用者へ給与を支給した場合、被災雇用者への給与支給額の10(法人税額の20%を限度)の税額控除が受けられる。
また申告書提出時に、給与支給額の明細書及び被災雇用者に該当する旨の書類(別表)を添付して提出する必要がある。

■Q&A
1.確定申告時に失念をしており、更正の請求書を提出することで受けられるか
 ⇒受けられない。
  
 確定申告時に、税額控除の適用要件でもある給与を記載した別表の添付がないため、更正の請求をしたとしても、税額控除の基礎となる給与額が存在しない。
 ただし宥恕規定はあり

2.被災雇用者への給与支給額の集計漏れ(少なかった)による納付税額過大に伴い、更正の請求をすることで当初の税額控除額の是正を受けられるか
 ⇒受けられない
  
 確定申告時に提出した別表の給与記載額を基礎として算定するため、集計ミスがあっても、当初の税額を是正することはできない。

■注意事項
上記の税額控除に限らず、添付書類(別表や明細書)が要件とされる税額控除については注意が必要である。
 
 ・雇用促進税制 ⇒雇用促進計画書


6.繰延税金資産の回収可能性は先行で移管

【論点】企業会計基準委員会が税効果会計に関する実務指針等(7)の移管を検討

全体的な整合性を確保するため、同時に全ての移管を予定していたが、
①すべての実務指針等を検討するには相当の時間が必要であり、
また、
②繰延税金資産の回収可能性に関する問題意識が強いため、繰延税金資産の回収可能性に関する部分を先行して移管し、その後、その他を一括して移管する方向で検討

最終的な体系として、「税効果会計に関する会計基準」の下に以下①~④(全て仮称)の適用指針を予定
①税効果会計に係る会計基準の適用指針
②繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
③中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針
④「法人税、住民税及び事業税」等の会計処理に関する適用指針


7.民法改正で個人保証に制限

・改正のポイントは次の二点。
①個人保証を原則として禁止した上で、主債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者については例外的に個人保証人とすることを認める。

②保証契約の締結に先立って民法が定める方式に則って公正証書が作成された場合には、個人保証禁止の例外とする。

経営者の親族であっても当該企業の役員として登記をしていない場合、民法改正後には①による経営者保証は認められなくなる。

そこで、「公正証書の作成」という手続を契約締結前に要求することにより、取締役等の登記がされていない者を保証人とする余地を認めている。

・まとめ
仮に個人保証人を立てることを検討する場合には、登記簿上、役員とされているかによって方式が異なることに留意する。


8.商品券・カタログギフトに係る消費税の取り扱い

■仕入税額控除
商品券   ×(非課税物品のため)
カタログ  ○(相手方が何を選択するかは関係ない)

■仕入税額控除の時期
商品券 -
カタログ⇒カタログ購入時(相手方の注文時ではない)

■販売(デパートなど)
商品券 ・自社発行のもの⇒不課税
    ・他者から購入したもの⇒非課税

カタログ 受注時に資産の譲渡を認識
    (注文商品の発送時の認識でもOK


9.法人税:来料加工取引を巡るTH税制事案で納税者の主張を認めた事例(審判所)

来料加工取引を巡る事案で不服審判所が納税者の主張を認めた初の事例があった。
審判所の判断なので、確定事例ではない。

■来料加工取引(らいりょうかこうとりひき)とは
・【香港子会社:日系子会社、TH税制対象】が【中国本土の企業】に対して原材料等を無償で供与し、加工を委託する取引。発注者は製品を加工料相当で買い取る。
TH税制の適用除外規定の要件充足を巡り、【香港子会社】の主たる業種が『卸売業』なのか『製造業』なのかが度々論点になる。
・税務当局の従来の立場は、一貫して『製造業』に該当するというもの。

TH税制の適用除外規定
・①事業基準、②実体基準、③管理支配基準、④非関連者基準 又は 所在地国基準 の4つ全てを充足すれば、TH税制の適用はされい。
・④について 『卸売業は非関連者基準』、『製造業は所在地国基準』が用いられるが、【香港子会社】は香港で製造していないため、後者が用いられると要件を充足し得ない。
・適用除外がされないと【香港子会社】の所得が【親会社:日本企業】の所得に加算されて、グループとして日本での税負担が増える。

■本件における審判所の判断基準(定説的な基準よりも納税者寄り)
・【香港子会社】が製造業を行っているとされる為には、【中国本土の企業】が行っている製造業務に対する実質的なコントロールを誰がしているかがポイントとなる。
・契約や運用の実態に鑑みて、本件では【香港子会社】がコントロールしているとは言えない、とされた。


10.例示区分の見直し(税効果)

DTAの回収可能性は「5つの例示区分」を用いて判断(委員会報告66号)
 区分1から3:フローで判断
 区分4と5 :ストックで判断(繰越欠損金など)

⇒将来業績が好転し、十分な課税所得の発生が見込める場合でも、繰越欠損金の存在という形式要件で区分するのは「会社の実態を反映していない」との指摘あり

ASBJが見直しを検討中。「フロー」への統一を提案


11.退職給付会計に係る税効果の基礎

1.税効果会計
 ①税務上の益金・損金(資産・負債)と会計上の収益・費用(資産・負債)の差異で一時的なもの(期ズレ)
 ②DTAについては、回収可能性が論点 ⇒ 監査委員会報告66号が判断基準

2.退職給付会計
 ①会計上は費用でも、税務上は損金とならない(確定債務でない為)
⇒ 一時差異
 ②他の一時差異とは異なり、長期間に渡って解消されるもの 
⇒ 回収可能性について、判断基準が異なる。(回収可能性ありとなる余地が大きい)

3.実務上の論点
 ①前払年金費用(年金資産>退職給付債務)となる場合の取り扱い
(1)  税務上は拠出時に損金だが、会計上はPLに計上されない
⇒ 一時差異
(2)当該一時差異の解消方法
  ・退職給付債務が増加 ⇒ 退職給付費用の計上 ⇒ 税務上否認 ⇒ 所得増加
  ・拠出額の返還 ⇒ 税務上は益金だが、会計上はPLインパクトなし ⇒ 所得増加
   いずれにせよ、将来的に所得が増加する ⇒ DTLを計上
 ②確定給付から、確定拠出へと移行
  (1)従来の退職給付制度は終了 ⇒ 退職給付債務と年金資産の差額がPLインパクト
  (2)確定拠出制度による、必要な拠出額を未払金計上。一方、税務上は拠出時に損金。
  ⇒ 一時差異となる。
  ⇒ 未払支払い期間は7年以内という規定がある 
  ⇒ これまでのように、長期間にわたって解消される一時差異とはならない
  ⇒ 他の一時差異の回収可能性の判断基準と同様となる点に留意が必要。


12.DD最終契約書の表明保証について

表明保証とは:一定の時点においてある事実が真実かつ正確であることを表明し保証すること

・一定の時点とはいつか
 ⇒通常は契約締結時点だが、クロージング時点とする場合が多い


13.財務諸表の表示区分を超える表示方法の変更

(論点)
 従来重要性の乏しさから営業外収益と販管費の両建て処理
  →販管費のマイナスで処理し、同一損益区分内で表示するようにしたい

(問題)
 会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準
  →毎期継続適用が原則だが、以下の場合に表示方法の変更が認められる
  ①表示方法を定めた会計基準又は法令等の改正により表示方法の変更を行う場合
  ②会計事象等をより適切に反映するために表示方法の変更を行う場合

(結論)
 上記②に該当しているという点を合理的に説明できれば変更可

(留意点)
 最終損益への影響はないが、各段階損益は変動する。
各段階損益に与える影響という観点からの検討が必要


14.連結財務諸表でオンバランスされる未認識項目の税効果

→退職給付会計の数理計算上の差異に関する税効果ついて

(未認識項目は連結でオンバランスされる)
・回収可能性の判断
 連結の会社例示区分に従って判定(ただし、個別と変わらないものと考えられる)

・回収スケジューリング
 退職給付引当金に係る将来減算一時差異と同様、長期のものとして取り扱う

・回収可能性の見直し
 個別財務諸表における退職給付引当金に係る将来減算一時差異の解消に劣後する
 (個別の退給に係る部分が先に解消し、残った部分で未認識項目の回収可能性を検討する)


15.使える補助金・助成金vol.6「中小企業活路開拓調査・実現化事業」

※要件さえ満たせば、非常に採択されやすい。

・(要件)
経営基盤強化、地域振興、社会的要請への対応等の課題解決のため、複数の中小企業が組合を結成し、1年以上活動していること。

・(金額)6/10以内 上限11,588千円

・(補助内容)販路開拓のための旅費、会議費、資料費、外注費等

・(募集期間)2月中旬-4月中旬

・(採択数)平成25年度:44件応募、36件採択








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  

0 件のコメント:

コメントを投稿