2014年8月10日日曜日

8/8 勉強会:改正会社法で創設の監査等委員会設置会社とは? 他

1.改正会社法で創設の監査等委員会設置会社とは?

H27.4 or 5月施行予定の改正会社法により、監査等委員会設置会社が創設された。

【現行】
・監査役設置会社(多数の上場企業が採用)
・委員会設置会社(少数の上場企業が採用)

【改正後】
・監査役設置会社
・指名委員会等設置会社(旧委員会設置会社/名称変更となる)
・監査等委員会設置会社

■創設理由
・従前の監査役設置会社は、社外監査役がいるものの、監査役は取締役会のメンバーでないため社外視点を反映させることに限界あり
・従前の委員会設置会社は、人事権を持つ指名委員会の設置が義務であり、企業側の抵抗が強かった
・中間的制度として創設された

■監査等委員会設置会社の概要
・監査等委員会が取締役会とは別途に置かれる
・取締役に対する監督を行う
・株主総会において取締役の選解任及び報酬等について意見を述べられる
・メンバー(監査等委員)は、3名以上の取締役でなければならず、過半数は社外取締役
・監査等委員は取締役会にも取締役として参加する
・監査役は置くことができない


2.平成26年度における法人税関係の改正について

■復興特別法人税の前倒し廃止
 ・適用:平成2641日以後終了事業年度より

■復興特別所得税額の法人税額からの控除
 ・復興特別法人税は廃止されたが、復興特別所得税は廃止されていないため、預金利子等から源泉徴収された復興特別所得税を通常の所得税とみなして所得税額控除制度の適用を受けることができるようにした
 ・適用:平成2641日以後終了事業年度より

■寄付金の損金不算入
 ・特定公益増進法人の範囲に次の法人が追加された
  ①地方独立行政法人で、博物館、美術館、動物園等の設置・管理業務を行っている法人
  ②幼保連携型認定こども園を設置する学校法人
 ・適用:平成2641日以後に支出する寄付金より

■所得拡大税制関係
 ・適用期限が平成30331日まで2年延長された
 ・要件の見直しが行われた
  給与等支給増加率「5%」以上
  ①平成2741日前に開始する事業年度:2%以上
  ②平成2741日から平成28331日までの間に開始する事業年度:3%以上
  ③①及び②以外の事業年度:5
 ・適用:平成2641日以後終了事業年度より(経過措置あり)


3.アンテナ設置料収入の申告漏れに注意

マンションの管理組合がアンテナ設置に伴う貸付けを行った場合、
以下理由により法人税等が課される。

   組合が団体として目的を達成するための組織であることが明確である
⇒人格のない社団等に該当する
   組合が当事者となって貸付契約を行っているため、貸付による収入は組合に帰属される
   貸付契約=収益事業を行う貸付業である

∴人格のない社団等で収益事業を行う組合と判断
 ⇒法人税の納税義務の対象となるため課税される。


4.所在不明株主に係る株式

数年所在不明の株主がいて、未払配当金を計上しているケース

①未払配当金に係る処理
 配当に係る源泉税は、配当の支払いがあったとみなして納付

②所在不明株式の自己株取得
 ⇒以下2つの要件を満たせば売買して良い規程がある
  ・株主と連絡が5年以上取れていない
  ・株主が5年間配当を受け取っていない

 ≪仕訳≫
   資本金等 ××× / 未払金 ×××
   利益積立金 ×× / 預り金 ××× ※源泉


5.IFRS適用企業の子会社吸収合併でASBJが見解

◆論点の概要
IFRSにおける連結上の帳簿価額を個別財務諸表上において「適正な帳簿価額」として引き継ぐ場合には、日本基準とIFRSで会計処理に差異がある項目について、そのままの残高で引き継ぐことになる。

例えば、企業結合で取得したのれんや耐用年数を確定できない無形資産については、非償却のベースでの残高で引き継ぐことになる。

よって、以下の点で問題となる。

・企業結合における資産・負債の認識や測定値が日本基準とは異なる可能性があることから、整合的でない。

・子会社化した後に当該会社を吸収合併した場合には、子会社化した時点の企業結合に関する会計処理及びその後の会計処理はIFRSに準拠して行われるため、子会社化することなく吸収合併し日本基準により会計処理する場合とは金額が異なる可能性がある。

◆結論
親会社が子会社を吸収合併する際、IFRSにおける連結上の帳簿価額を個別財務諸表において「適正な帳簿価額」として引き継ぐことは適切でないとの見解。


6.交際費5,000円基準にかかる更正の請求など

■更正の請求
税額等の計算が国税に関する法律の規定にしたがっていなかったこと、または計算に誤りがあったことにより納付税額が過大だった場合、法定申告期限から5年以内であれば更正の請求ができる。

<ケース1>
接待飲食費に該当する交際費につき、50%を損金算入していなかった。
⇒計算に誤りがあった場合に該当し更正の請求ができる(FAQ掲載済)

<ケース2
15,000円以下の飲食費用につき、交際費から除外していなかった。
⇒計算に誤りがあった場合に該当し更正の請求ができる。

■ゴルフ関連(接待飲食費となるか)
①ゴルフコンペ終了後の打上げパーティー(表彰等)
⇒ゴルフプレーと不可分のため接待飲食費にならない

②ゴルフコンペ終了後、一部の参加者を誘って開催した打上げ
⇒ゴルフプレーとは別の催事となるため、接待飲食費になる。

③ゴルフコンペ終了後、一部の参加者を誘って開催した打上げに他の参加者も出席することになり全員参加となった場合
⇒ゴルフプレーとは別の催事となるため、接待飲食費になる(参加人数は判定に影響しない)


7.IFRS論点 中国及びインドネシアにおける土地に関する会計処理

・土地は国のもの。企業は保有できない
・土地の使用権を取得して工場等を建設している

(中国)
・土地は国が所有 国と使用契約締結(30年~50年)
・契約時に一括支払い
・土地使用権は無形資産計上&償却
IFRSだと前払リース料&取り崩し
PLインパクトは同じ

(インドネシア)
・土地を所有できるのは国かインドネシア人。法人は原則不可。
・土地使用権は最長30年、さらに20年延長できる
・僅かな支払で延長できる
・インドネシアの会計基準では使用権を計上し、非償却。
IFRSだと、有形固定資産とする方法、無形固定資産の取得として処理する方法、土地のリースとして処理する方法などの考え方が混在。実務混乱。


8.IFRS「投資企業:連結の例外の適用」

(投資企業の親会社により処理)
投資企業の親会社は、自身(親会社)が投資企業である場合を除き、投資企業である子会社を通じて支配している企業を含め支配している企業を全て連結する。
⇒親会社が投資企業でない場合は、原則全ての子会社を連結する。

(連結財務諸表の作成免除)
投資企業(親会社)が、子会社の全てを純損益を通じて公正価値で測定することを要求されている場合には、連結財務諸表を作成する必要はない。

IFRSにおいては、連結財務諸表の作成免除の要件の1つに最上位の親会社がIFRS準拠の連結財務諸表の作成が挙げられている。
このため、連結財務諸表を作成しない。

投資企業を親会社とする子会社は、形式的には要件を満たさないため、子会社が孫会社等含め連結財務諸表を作成しなければならないという課題がある。

⇒子会社においても、連結財務諸表作成負担を免除することについて、公開草案で解決を図ろうとしている


9.研究開発費に関する会計

 ・会計基準
日本基準→研究開発費はすべて発生時に費用処理(通常一般管理費に計上)
IFRS→研究は費用処理
開発は一定の要件を満たすものは資産計上
 
 ・研究開発費の管理を適切に行い経営管理に活かすことが重要


10.財務デューデリジェンスの基本

()初心者の陥りやすい過ち
  ①財務諸表監査と同様にとらえてしまう
   ・簿外事項の発見が大事
   ・事業や企業活動そのものの理解が大事
   ※内訳チェックだけでは発見しにくい
  ②思い込みで進めてしまう
   ・業績が良い会社→甘いDD
   ・業績が悪い会社→厳しいDD

()ポイント
・DD報告書の様式を活用(漏れ防止)
 (該当がなければ「該当なし」と記録する方式)
・DD実施前に、報告書ドラフトを準備
・エクセル資料は事前に入手・分析
・入手資料は原本1つにする工夫(コピーは極力作らない)
・体系的なファイリング
・報告書完成前でも、いつでも報告できるよう論点まとめ
 (完成しないと報告できないのはダメ)
・論点になる事項は対象会社に文章で意見を求める
・数値算定中(未確定)でも、論点の項目出し


11.連結納税制度の適用に係る対応

1.連結グループにおける繰延税金資産、繰延税金負債の計上手順
 ① 各社ごとに財務諸表上の一時差異に対して税効果を認識
 ② 繰延税金資産、負債を合計。連結固有の一時差異に対して発生源泉となる各社ごとに税効果を認識
 ③-1 法人税に係る部分;連結グループとして回収可能性を判断
 ③-2 住民税または事業税に係る部分:各社ごとに回収可能性を判断

2.繰延税金資産の回収可能性の考え方
 連結所得見積額に基づいて回収可能性を判断(例外あり)

3.例示区分の考え方
 連結財務諸表:連結グループの例示区分
 個別財務諸表:グループと各社のいずれか上位の例示区分
 (連結欠損金がある場合は連結グループの例示区分による)


12.「リキャップCB」が急増 株価への効果は乏しい

・リキャップCBとは…
転換社債型新株予約権付社債(CB)発行と、自己株取得を同時に行い、負債・資本比率を再構築(リキャピタライゼーション)すること。

・一旦株主資本が減るため、ROEが向上し、株価が上がると言われている

・株価が一定以上になればCBが行使され、株式に変わるため、元に戻る

・発行の意図がわかりづらく、発行会社には既存株主の問い合わせが多い






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