2014年7月4日金曜日

7/4 勉強会:ふるさと納税と一時所得 他

1.「改正会社法で創設された新キャッシュ・アウト(現金を対価とする少数株主の締出し)とは?」

■新たなキャッシュ・アウト手法として「特別支配株主の株式売渡請求」ができた
総株主の10分の9以上を有する株主(特定支配株主)が、株主全員に対して所有する株式の全部を特別支配株主に売り渡すことを請求できる制度。
→特別支配株主の意向により、その他の株主の意向に関係なく、全株式を取得できる

■従来の手法
・金銭を対価とする組織再編(株式交換等)
・全部取得条項付種類株式を用いた手法
→それぞれ実務ではデメリットがあった

■「特別支配株主の株式売渡請求」のメリット
・株主総会の特別決議が不要で、時間的・手続的コストが小さい
・税務上、株主間の課税のみで終了する
→企業にとって使い勝手の良い手法である


2.内外判定基準変更で国外取引を明確化へ

・国境を越えた役務提供に対する消費税について

現 状:役務提供地で判定
変更案:役務提供を受ける者の住所地や事務所所在地で判定(仕向地主義)
()KindleKoBoでのネット配信サービス
 ⇒サービス配信する供給地で課税されるため消費税は課税されないが、今後は課税される

ただし国内外にわたる役務提供について、以下は国外取引となるように法令で明確化する。

①国外で当該国に関する情報収集など役務提供
②国外で国外資産の譲渡等に伴う役務提供

上記以外は変更後の内外判定基準で判定することになる。
GoogleAmazonAppStoreAWSは要注意


3.マンション等の収益事業をめぐる課税問題で初の裁決事例

■まとめ
・マンションの管理組合は人格のない社団等に該当する
・管理組合が得ているアンテナ基地局の設置による収入は、収益事業に該当するので法人税の課税対象となる

■事例
・マンションの屋上(共用部分)にアンテナ基地局を設置して、賃料収入を得ていた管理組合に対して、その賃料収入について法人税が課税された事例

■争点と審判所の判断
①管理組合は人格のない社団等に該当するかどうか
→人格のない社団等に該当する(最高裁S391015日第一小法廷判決)

②共用部分を使用した賃料収入は、管理組合に帰属するか、各区分所有者に帰属するか
→共用部分の管理は管理組合が行っており、また、管理組合が当事者として 賃貸借契約を締結しているため、賃料収入は管理組合に帰属する

③アンテナ基地局設置による賃料収入は、管理組合の収益事業に該当するかどうか
→共用部分を使用したアンテナ基地局の設置は、不動産貸付業に該当するため法人税法でいうところの収益事業に該当する

■人格のない社団等の判断基準
①総会を組織し理事長等の役員を置くなど団体としての組織を備えていること
②総会は多数決の原則が行われていること
③構成員の変更にかかわらず、団体そのものが存続すること
④その組織において、代表の方法、総会運営、財産管理など団体の主要な点が確定していること


4.電子記録債権の受取書に係る印紙税

①売上代金を電子記録債権で受領した場合の受取書
・第17号文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)には該当せず
 ※受取書に印紙添付不要
・受取書に、「上記金額を電子記録債権で受領しました。」などの記載必要

②印紙税の改正点(H26.4.1以後作成の受取書に適用)
・第17号文書について、5万円未満は印紙税不要に
 ※従前は、3万円未満が印紙税不要であった


5.社外役員等に関するガイドラインが公表

2014630日、「社外役員等に関するガイドラインが公表」され、要旨は以下の通りである。

◆ガイドラインの趣旨
我が国の上場会社が国内外から信頼を受ける良質なコーポレート・ガバナンスを確保するために求められる事項等を示したもの

◆社外役員を含む非業務執行役員の役割
・社外取締役は社内外での知見・経験を生かし、企業価値の持続的な向上のため外部の視点から忌憚のない意見を述べることが望ましい。

・社外取締役は、役員の選任・選定過程、報酬の決定過程において、忌憚のない意見を述べることが望ましい。

◆社外役員を含む非業務執行役員の人選
・企業は、非業務執行役員の人選に当たって、非業務執行役員に期待する役割を、非業務執行役員及び株主に対して明らかにすべきである。

・執行役員に業務執行役員からの独立性を強く求める場合、非業務執行役員の人選過程において、業務執行役員からの推薦とするのではなく、非業務執行役員に候補者の選定を依頼することが考えられる。

・企業は、監督の実効性と独立性のバランスを考慮して、非業務執行役員の最長在任期間を検討することが望ましい。


6.ふるさと納税と一時所得

■ふるさと納税について
【概要】
・地方公共団体に対する任意の寄付
・所得税で寄付金控除を、住民税で税額控除を受けることにより住民税の納税地を実質的に住所地→出身地に変えることができる。
・寄付のお礼として特産品(3,000円程度)がもらえる。
・複数の地方公共団体に寄付可

(具体的仕組み)所得税率10%とする
①地方公共団体3か所に10,000円ずつ寄付(計30,000円)
②所得税の減額  (30,0002,000)×10%=△2,800
③地方税の減額 ア(30,0002,000)×10%=△2,800
            イ(30,0002,000)×(90%10%)=△22,400円(※)
          ※住民税所得割額の10%が限度
④合計控除額 △28,000
⇒実質2,000円で特産品9,000円(@3,000×3)をゲット
           
■もらった特産品の取り扱い
・一時所得として所得税が課税される。
⇒通常は特別控除50万があるため申告不要。
  ただし、他の一時所得がある場合には加算して申告が必要。


7.会社法改正法案可決

・監査等委員会設置会社制度の創設
・社外取締役を置くことが相当でない理由の開示義務付け
・社外取締役等の要件等の厳格化
・会計監査人の選解任等に関する議案内容決定権の監査役への付与
・多重代表訴訟制度の創設
・株主による組織再編等の差止請求制度の拡充
H27年春ごろに施行される見通し
⇒3月決算であれば来年6月の総会から

■社外取締役の要件
※改正会社法が6月20日に成立
①親会社の取締役等でないこと
②取締役等の近親者でないことなど

社外取締役を設置しない場合には、「置くことが相当でない理由」を説明する必要あり

会社法2条15項
「現在及び過去一度も当該会社またはその子会社の代表取締役・業務執行取締役・執行役・従業員等となったことがないこと」
⇒①と②が加わり、過去一度も、が就任の前10年間、に変更になった

3月決算であればH26年6月の株主総会で社外取締役を選任しなければ来年の株主総会で説明必要

■倫理
Big4であるKPMGの現役パートナーがインサイダー取引に関与し14ヶ月の実刑判決を受けた
7月18日が収監日 現在51歳


8.特集 得する年金

(未納付・未加入期間について)
2015年の9月まで 未納保険料は過去10年さかのぼって納付可能
・国民年金の加入期間は60歳までだが、6065歳で任意加入して、過去の未加入期間をカバーできる

(年金受取り開始時期)
・年金を受ける時期は60歳まで早められる 
(その場合、早めた月数×0.5%減額 → 65歳支給開始の人が60歳まで早めると本来の70%)
・逆に70歳開始に遅くすることも可能
(遅くした月数×0.7%増額 → 65歳支給開始の人が70歳まで遅くすると本来の142%)

(主婦の年金)
・専業主婦(≒第3号被保険者)は、自分では保険料を収めず、将来基礎年金6.5万円を受け取れる

・案①パートも厚生年金を適用
・案②第3号を廃止、第1号に加入してもらう(基礎年金を受け取りたければ月1.5万円の保険料を払う)





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  

0 件のコメント:

コメントを投稿