2014年2月22日土曜日

2/21 勉強会:日本版IFRS、四半期開示は受け入れ 他

1.給与課税の現物給付でも仕入税額控除可

企業が自社商品を従業員へ値引き販売するケース
①通常販売価額の70%以上で販売(他の要件も満たす場合)
 ⇒値引き額は、売上値引として処理
 ⇒自社商品に係る仕入れは『仕入税額控除』の対象

②通常販売価額の70%未満で販売
 ⇒値引き額は、給与として処理
 ⇒自社商品に係る仕入れは『仕入税額控除』の対象(①と同様)


2.税理士への訴訟トラブル、最近の税賠事例からみる注意点

■まとめ
 ・所得金額が増加する場合は納税者に同意を取る
 ・節税スキームについて、摘要要件などを細かく説明する
■事例1
 ・税理士Aが医師から所得税の申告を依頼される
 ・医師が提出した「窓口収入」の資料と診療報酬から計算される「窓口収入理論値」に差異
  窓口収入<窓口収入理論値
 ・税理士Aは医師に確認することなく、窓口収入理論値により申告書を作成
 ・裁判所の判断
  税務申告として不適切な方法ではないが、収入金額の差異について医師に確認、説明する義務が税理士Aにはあった。
  →医師の損害賠償請求を認めた

■事例2
 ・税理士Bがクライアントに節税スキームを提案
  →従業員を退職させて、その従業員に退職金を元手に新会社を設立させる
 ・クライアントは節税スキームを実施、その際、退職者の中に勤務実態のない従業員を混ぜた
 ・裁判所の判断
  税理士Bは、節税スキームを提案したが、クライアントが悪用した。
  悪用されることを前提に提案したわけではないので、税理士Bに瑕疵はない。
  また、税理士Bは退職金として認められる要件をクライアントに説明している。
  →クライアントの損害賠償請求を棄却


3.日本版IFRS、四半期開示は受け入れ

IFRSで必要な期中財務報告
①要約財政状態計算書
②要約純損益およびその他の包括利益計算書
③要約持分変動計算書
④要約キャッシュ・フロー計算書
→日本で上記を受け入れると事務負担が増大。
 四半期会計期間の損益計算書(包括利益計算書)、1Q及び3Qにおけるキャッシュ・フロー計算書、要約持分変動計算書の追加が必要なため。

しかし日本版IFRSにおいても、上記財務報告を受け入れる方向となっている。


4.業績不振の被合併会社に減価償却不足額や棚卸資産の過大計上額が存在する場合における、合併後の税務上の処理について

■テーマの前提
・被合併会社は業績不振であったため、減価償却を行っていなかったり、棚卸資産が過大計上されていたりする。
・会計上は取得として時価(適切な償却後の簿価や適切な評価額)で引き継がれている。

①減価償却不足額の取扱い
適格合併である場合、固定資産は簿価で引き継ぐ
→結果、合併事業年度以降で過年度償却超過額として、認容されていく

②過大計上されていた棚卸資産の取扱い
仮装経理に該当する場合は、被合併法人の過年度の決算の修正により、更正の請求を行う。


5.収用における買取等の申出のあった日

Q:公共事業者に資産を譲渡することとなり「収用交換等の場合の譲渡所得の特別控除」の適用を受ける場合、当該制度の要件にある「最初に買取等の申出があった日」の時期はどのように判断すべきか?

【制度概要】
・収用等により資産を譲渡した場合、その譲渡が公共事業者から「最初に買取等の申出のあった日」から6か月以内に譲渡を行うことでその資産の譲渡所得の金額から最大5,000万円の特別控除が受けられる

A:「最初に買取等の申出があった日」は法令上特段の基準は設けられていない
→実質的に判断
・個別交渉等の場面で公共事業者が買取資産を特定
・買取資産の対価を明示
→以上により買取の意思表示となり「最初に買取等の申出があった日」と判定される。


6.相続税:特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者が死亡している場合の課税関係

<用語>
相続時精算課税・・・贈与時には課税せずに、相続時に課税する制度(課税の繰延べ)
特定贈与者・・・相続時精算課税にかかる贈与者。下の図の甲
相続時精算課税適用者・・・特定贈与者から贈与を受けた者。下の図のA

被相続人甲
  ||_____ A
  ||          ||
 Aの母乙     Aの妻B

■通常の流れ
甲死亡⇒相続時に相続時精算課税適用財産に対しAに課税

■甲より先にAが死亡している場合(設例のケース)
Aの相続人が法定相続分に応じて納付義務を承継する
Aの妻B 2/3
Aの母乙 1/3


7.法人税:建物の有姿除却

■固定資産の有姿除却はどのような場合に認められるか
⇒「実際に事業供用されていない」という事実に加え、その事業供用の可能性の客観的な有無が重要。

例)
店舗移転をした場合に、閉鎖した旧店舗について解体前に有姿除却が可能か?
⇒有姿除却は困難。
会社の経営判断という主観で使用を止めているのみで、例えば倉庫等として活用する可能性が残っている。
固定資産としての客観的な使用価値は残っている。

※製造機械と一体となっている建物について、その製造ラインが廃止されたようなケースではその建物の有姿除却が認められるものと考えられる。


8.東証 新規上場時の株主数基準引き下げへ

・「IPOの活性化等に向けた上場制度の見直しについて」を公表。
・新興市場への新規上場時の株主数基準を現行の300人から引き下げる。
 「200人以上となる見込み」があれば足りるものとする。
・上場廃止基準は現行どおり150人を維持。
H263月をメドに実施予定。
・「上場後3年間は内部統制報告書に係る監査義務を免除する」等の施策が検討中。


9.ソニーの営業利益に見る、日米会計基準の違い

2012年度営業利益 2,301億円(うち主な資産売却益 2,380億円)
2013年度営業利益(見込)800億円(同200億円)

ソニーは米国会計基準を採用している。
→日本の会計基準では「特別利益」として計上される一部の資産売却が「営業利益」に計上される

「固定資産の売却」、「減損処理」、「従業員のリストラなど構造改革費用」
→(日本)一過性のものとして「特別利益」「特別損失」に計上
→(米国)営業損益に計上 特別損益という考えがそもそもない。
米国企業ではリストラが常態化しているのも理由??

IFRSでも、特別損益はない。
(例えば地震等異常な事象から損失が発生したとしても事業を行う上では避けられない管理すべきリスク。
それを別表示することは極端に言えば経営責任を回避しているかのような誤解を与えるという考え方に基づく?)







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