2014年1月20日月曜日

12/27 勉強会:税制改正大綱:会社法改正法案を受け整備 等

適用時期から読み解く平成26年度税制改正大綱

【所得税】
①給与所得控除の上限額が引き下げ
-  現 行  15M超 2.45M
-H28年分~)12M超 2.3M

②非適格SOを発行会社へ売却した時の課税関係
-( 現 行 )譲渡所得(20%申告分離課税)
-H26.4.1~)給与所得(累進課税)

③ゴルフ会員権の譲渡損失
-( 現 行 )他の所得と損益通算可能
-H26.4.1~)他の所得と損益通算不可能

【法人税】(H26.4.1開始事業年度分~)
①復興特別法人税の廃止

②交際費損金算入額の拡大
- 飲食費の50%部分まで損金算入可能に
※中小企業は、定額控除(800万円)との有利選択



2.特定新規設立法人の事業者免税制度の不適用制度(消費税)

■新設法人の納税義務の免除(原則)
・資本金1,000万円未満

■平成23年度改正の問題点
・設立事業年度の納税義務は免除されたまま
・設立事業年度が7か月以下の場合にはその翌事業年度についても免税事業者になることができる
・特定期間中の課税売上高と給与等の支払額のいずれかが1,000万円以下であれば免税事業者になることができる

■平成24年度改正の内容と摘要時期
・大規模事業者等が一定要件のもと、子会社を設立した場合にはその新設子会社の納税義務判定は、下記をもとに行う
 ①新設子会社の資本金
 ②大規模事業者(親会社)の基準期間の課税売上高
・適用時期…平成2641日以後に設立した法人



3.別個に相続した財産の取得費加算の特例(所得税)

■問
 父、母の持分が12ずつの土地を相続により取得しました。
 (父より:平成23年、母より:平成24年)
 この土地を平成25年中に売却しましたが、この譲渡につき相続財産に係る取得費加算の特例の適用を検討しています。
 譲渡内容が以下の場合、譲渡所得の金額はいくらになりますか。

 土地の売却金額:2,000万円
 土地の取得費 :100万円(父の持分50万円、母の持分50万円)
 土地の譲渡費用:20万円
 取得費に加算できる相続税:父の分:500万円
                      母の分:1,000万円

■回答
 譲渡所得の金額:売却代金-(土地の取得費+譲渡費用+取得費に加算できる相続税)

①父の分
 (2,000万円*0.5)-(50万円+20万円*0.5500万円※)=440万円
 ※(2,000万円*0.5)-(50万円+20万円*0.5)=940万円>500万円 ∴500万円

②母の分
 (2,000万円*0.5)-(50万円+20万円*0.5940万円※)
 ※(2,000万円*0.5)-(50万円+20万円*0.5)=940万円<1,000万円 ∴940円 

③譲渡所得の金額 ①+②=440万円

■まとめ
 取得費に加算できる相続税の額は、取得費加算の特例を使用しなかった場合の譲渡所得の金額が上限
 →上限を超えて加算できてしまうと、譲渡所得の中で損益通算ができてしまうため
と思われます



4.虚偽記載の賠償責任は「過失責任」に

金融審議会のワーキンググループが報告書を取りまとめた。
来年の通常国会へ改正案を提出。

■有価証券報告書等の記載に「重要な事項について虚偽がある」場合等の企業側の責任
現行:無過失責任
改正案:過失責任(ただし提出会社が無過失を立証する必要あり)

■大量保有報告制度の見直し案
・自己株式を除外
・個人の場合に「住所の番地」、「生年月日」を公衆縦覧の対象から除外

■新規上場後の内部統制報告書の提出について
・上場後、「3年間」に限り公認会計士監査を免除

■新規上場企業が提出する有価証券届出書について
現行:過去5年分の財務諸表の記載が必要(過去2年分は公認会計士の監査が必要)
改正案:過去2年分の財務諸表の記載のみとする(公認会計士の監査が必要)


5.マイホーム売却、1~1.5億円は年内に

■居住用財産の買替特例()の譲渡価格の上限が平成2611日以降1億円以下に引下げ
※特例の内容
居住用財産の買替した場合の譲渡益に対して買い換え時には課税されず、将来その住居を売却する際の譲渡益に、その繰り延べた譲渡益が加算されて課税されるという特例である。

①売却した住宅の譲渡価額が買い換えで取得した住宅の取得価額以下である場合
譲渡益はなかったものとされ、課税されない。

②売却した住宅の譲渡価額が買い換えで取得した住宅の取得価額を超える場合
【譲渡収入金額】
売却した住宅の譲渡価額(ア)-買い換えで取得した住宅の取得価額(イ)=譲渡収入金額

【必要経費】
(売却した住宅の取得費+譲渡費用)×((ア)-(イ))÷(ア)
課税される譲渡所得は以上で求めた譲渡収入金額から必要経費を控除して求められる。

→特例適用の要件の一である売却した住宅の譲渡価額(ア)が1.5億円以下から1億円以下に引き下げられることで課税の繰り延べが受けられる取引の範囲が狭まる。


6.固定資産の交換特例、非居住者も適用可
非居住者が固定資産を交換する場合、
固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例(所法58条)で「居住者が、各年において・・・・」と規定しているが、その他の適用要件を満たし、交換し譲渡・取得する資産が国内に所在していれば、非居住者でも適用可能


7.所得税:外国人の扶養控除等
■単身で来日した外国人の所得控除
本人が「居住者※」に該当すれば<配偶者控除><扶養控除>の適用あり。
※国内での勤務が1年以上の予定であれば居住者と推定される

<配偶者控除>
同一生計であれば、
・配偶者は国外在住でもOK
・本国で収入があってもOK

同一生計⇒同居していなくても生活費を送金している等の事実があれば認められる。

<扶養控除>
同一生計の親族がいれば対象となる。
16歳以上で6親等内の血族等であれば何人でもOK
※配偶者控除は一夫多妻制が認められている場合でも1人のみが対象


8.純損失の繰戻還付請求か純損失の繰越か

■繰戻還付の適用を受けなかったことによる損失が顧問税理士に請求された事例
・所得税の申告にあたり多額の純損失が生じた年度において、顧問税理士が深く検討しないまま『純損失の繰越』を選択して確定申告した。
・翌期以降は損失が継続したため、繰り越した損失を利用できなかった。
・前年以前は多額の利益が出ていたが、市況変化に伴い当該年度以降は利益が出せないであろう状況であった。
・事業主は好況期には事業を息子に継がせる予定であったが、市況変化のために事業承継を断念した旨を税理士に伝えていた。

■税理士に損害賠償責任有り
・『繰戻還付』か『繰越』かの判断にあたっては、その期の損失が一時的なものか、その後も続くものかが重要になる。
・本件においては継続的に損失が生じることを税理士が承知していたことから、繰戻還付を選択すべきであった。


9.税制改正大綱:会社法改正法案を受け整備

①みなし配当が生ずる自己株式取得範囲を変更
・改正法案:株式併合により端株となる株式に「反対株主の買取請求」を認める
・大綱:この「反対株主の買取請求」はみなし配当が生じる自己株式の取得範囲から除く

②監査委員の過半数賛成で利益連動給与が決定
・改正法案:監査等委員会設置会社における監査員は、同委員以外の取締役に対する報酬額の決定に関する意見陳述権が付与される。
・大綱:利益連動給与の決定に際して、監査委員の過半数の賛成が必要

③使用人兼務役員から監査等委員を除外へ
・改正法案:監査等委員会設置会社における監査等委員会の委員である取締役は、当会社とその子会社の使用人等を兼務することはできない
・大綱:「使用人兼務役員の範囲」から、「監査等委員会の委員である取締役」を除外


10.消費税率改正に備える他部門への直前確認ポイント

()経費精算システムの運用方法を周知
・システムの変更点を周知
・レシート類に「税込表示」「税抜表示」が混在

()該当する経過措置対象取引の洗い出し
①施工日(2014/4/1)前後の取引
・旅客運賃(定期券)、入場料(映画)、電気、水道料金
・定期刊行誌
・売上及び仕入の値引き/返品
 (4/1以降でも旧税率を適用)

②指定日(2013/10/1)前の契約について旧税率適用
・工事の請負契約、通信販売等


11.復興特別法人税の廃止による税効果会計への影響

【前提】
  12/12公表の税制改正大綱で復興特別法人税が3年間から2年間に短縮された
  ⇒ex.3月決算会社の場合
     改正前 H25/3期~H27/3
     改正後 H25/3期~H26/3

【影響】
 ・繰延税金資産又は負債の再計算による取崩しが必要(例の場合、H27/3期を取崩す)
 ・改正税法が決算前に公布された場合、修正額の注記が必要
  改正税法が決算後に公布された場合、内容や影響の注記が必要


12.会計方針の変更を行った場合の株主資本等変動計算書の表示

会計基準の改正時における会計方針の変更
○原則:遡及適用
(原則の表示例)

利益剰余金                 前連結会計年度  当連結会計年度
 当期期首残高                   ×××       ×××
 会計方針の変更による累積的影響額    ×××            
  会計方針の変更を反映した当期首残高   ×××       ×××

○例外:経過的な取扱いがあれば、当該取扱いが優先
(例外の表示例)

利益剰余金                  前連結会計年度  当連結会計年度
 当期期首残高                         ×××      ×××
 会計方針の変更による累積的影響額         -      ××× 
  会計方針の変更を反映した当期首残高    ×××      ×××


13.M&A売り手サイドの事業計画作成ポイント

→買い手目線で売却価格最大化を目指すには

●買い手候補者の属性の把握
 ・事業会社の場合
  ⇒事業計画の実行可能性の高い部分の施策やシナジーの可能性を示す
 ・ファンドの場合
  ⇒将来の売却を想定しつつ、複数のシナリオの検討が出来るようにする

●事業計画のポイント
 ・損益計画
  ⇒売上原価を製品別、地域別、顧客別に分割できる場合、セグメント別損益計画を作成する
 ・販管費計画
  ⇒売上変動費と固定費に分割する
   また、各セグメントに紐づけられる項目はセグメント別に集計
 ・運転資本計画
  ⇒直近期の運転資本の増減が、将来の動きと整合するかの確認

●事業価値の評価
 ・買い手候補者が採用する評価方法のポイントを意識しながら、対象会社の将来収益力を解りやすく合理的な根拠に基づいて説明することが、売却価格の最大化にとって重要となる。


14.仮想通貨ビットコインは中国経済をどう変えるか

・ビットコイン「バブル」が発生。13年夏には1ビットコイン100ドルだったのが、12月はじめには1,000ドルに。

【そもそもビットコインとは何か】
・世界中のプログラミングオタクたちが共同で作り上げた仮想通貨
・プログラムによって流通総量がコントロールされている
・銀行を介さないため、送金手数料無料
・中国ではネットショップや一部リアル店舗でもお金として利用可能

【なぜ高騰したのか】
ビットコインは以下2つの理由から、現金以上の流動性を持っている。
・手数料がかからない
・機密性が高い

そのため、以下の2ケースでよく利用されている。

①犯罪への利用
→ビットコインは匿名性が非常に高く、誰がいくら持っていて、いくら使ったかの追跡が非常に困難
→麻薬取引、マネーロンダリングに使われやすい

②中国の資本規制
→中国では海外投資のハードルが非常に高い 
→そのため、富裕層が海外の不動産投資を行う場合にビットコインを経由するケースが増えている

【規制への動き】
ビットコインバブルを受けて、中国に新たな動きも
・中央銀行が、国内金融機関での取扱規制を通達。
・中国の大手ネットショップ百度もビットコイン決済を停止。




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