2013年12月6日金曜日

12/6 勉強会:ストック・オプション(SO)を付与した場合の発行法人側の税務 他

1.二重課税裁判、高裁も納税者敗訴

【事例の概要】
・相続した土地を売却
 ⇒相続税(相続時)、所得税(売却時)が二重課税となるか

【例】
・父が100で土地購入
・父が死亡、子が土地(相続税評価額200)を相続
 ⇒200に相続税課税
 ⇒父購入時からの値上り益100も課税対象・・・①
・子が土地(時価200)を売却     
 ⇒(時価200-父の取得価額100)に所得税課税
 ⇒父購入時からの値上り益100が課税対象・・・②
①と②が二重課税なのでは?

【判決】
・二重課税とはならない
・②の値上がり益100に対する所得税は、本来、父が負担すべき税金
 ⇒子は、父が課税されなかったものを繰延で負担しているだけ
 ⇒①と②は性質の違うものであり、二重課税ではない


2.建物存在も施設を要しない土地として使用開始日判定
■譲渡所得の計算上、土地の取得費となるもの
 ・土地の代金
 ・土地を使用するために要した付随費用の額
 ・借入金の利子で土地の使用開始日までに支払ったもの
  ※土地を取得するための借入金にかかる利子

■土地の使用開始日
 ・建物に供するための土地…建物の使用開始日
 ・それ以外…土地が使用できることになった日

■裁決事例のポイント
 ・土地の上に建物が存在していても
  建物の敷地に供された土地がそれ以外の土地に比して極めて僅少なとき
 →その土地全体の使用開始日は、土地が使用できることとなった日になる


3.ストック・オプション(SO)を付与した場合の発行法人側の税務
SO発行法人側の費用帰属年度について
(会計上)
原則として付与日のSOの公正な評価額を「付与日から権利確定日までの期間にわたって」費用計上
(法人税法上)
付与対象者において給与等課税事由が生じた日(1)において発行法人が役務の提供を受けたものとして、SOの費用を損金算入できる
→よって税制適格SO(2)の場合、適格行使したら損金算入できない
1. 新株予約権の取得者が課税されるタイミングである”権利行使時”を指す
2. 一定要件を満たすことにより、SOの権利行使時における所得税の課税が、実際の株式売却時まで繰り延べられるもの。

■まとめ
(非適格)
新株予約権発行時=損金算入不可
取得者の権利行使時=損金算入可
(適格)
新株予約権発行時=損金算入不可
取得者の権利行使時=損金算入不可
※なお、この規定の対象となる新株予約権に条件があるので注意


4.修正された会社法改正法案の概要
   社外取締役の設置について
株式公開大会社において社外取締役を置いていない場合、定時株主総会にて取締役が株主に「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明することとなる。

   社外取締役の要件の厳格化
                 現行      改正
親会社業務執行者     →○・・・・・・→×
当社社業務執行者近親者→○・・・・・・→×
兄弟会社業務執行者   →○・・・・・・→×

   監査等委員会設置会社
・監査役設置会社、委員会等設置会社に並ぶ第三の類型の期間設計
・監査等委員会設置会社の監査等委員会には、役員の指名、報酬に関する意見陳述権があり監督力の強化が図られる

   会計監査人の選解任等の決定権が監査役となる
現行、会計監査人の選解任等は取締役の権限であったが、取締役を会計面で監査する会計監査人の選解任が取締役では統制にねじれが生じることから当該権限が監査役に移行する
※上記改正は平成2741日施行予定


5.期ずれへの重加算税事例が急増
・税務調査で期ずれが発覚し、重加算税が課される事例が急増
・「仮装、隠蔽」により生じた期ずれが重加算税の対象
(計上漏れによる期ずれは重加算税対象外となる可能性が高い)


6.太陽光発電設備の償却について
■耐用年数(機械装置)
その設備が客観的、一般的にどの業界で使用されるものであるかどうかを基準に判定する。
①発電した電気を売る場合
⇒発電設備は一般的に電力会社が使用するものであるため
「電気業用設備」-「その他の設備」-「主として金属性のもの」として17

②自社で使用する場合(例:食料品製造業)
⇒「食料品製造業用設備」として10年で償却する
※①、②のいずれにもあたる場合は主たる事業がどちらであるかにより判定する。

■即時償却
税務上は即時償却可、ただし、企業会計上は適正な期間損益計算の観点から剰余金の処分により特別償却準備金の積立を行うのが妥当。
例:取得価額1億円、耐用年数17年の場合

減価償却費          5,900,000/ 減価償却累計額 5,900,000
繰越利益剰余金 94,100,000/ 特別償却準備金 94,100,000
⇒別表4で減算 94,100,000


7.【所得税】海外転勤者の源泉徴収と年末調整
 ※転勤予定期間が1年以上(非居住者に該当する)の場合
■出国前
・出国前に年末調整を行う
・扶養控除等については、出国時の現況で判断する
・保険料については、出国前に支払ったもののうち出国前の期間に対応する部分が対象となる

■転勤中(非居住者)
・給与・・・支給額の全額が国内勤務にかかる場合を除き、源泉徴収不要
・賞与・・・按分計算により、支給対象期間のうち国内勤務に対応する部分のみ源泉徴収が必要

■帰国後(居住者)
・帰国後に支給する給与や賞与は居住者への支払いであるため、支給対象期間の勤務地等にかかわらず源泉徴収が必要
12月に年末調整を行う


8.業務純益
■銀行等の金融機関で用いられる独自の指標
・一般会社の営業利益に相当
売上総利益=業務粗利益
 営業利益=業務純益

■金融機関の収益の柱
・貸出金利息
・手数料等の役務収益
・有価証券運用益

銀行は銀行法21条にもとづき、半期に1度、ディスクロージャー誌で業務や財務の状況を開示する義務あり


9.取引先からの不当要求
[前提]
A社はB社へソフト開発業務を委託
⇒A社担当者がB社担当者に無理難題
⇒B社担当者はうつ状態、療養休職へ
※何らかの法的主張ができるか?
※一般的にはA社担当者の言動が「うつ状態」を招いたと立証することは困難

[考えられる法的主張]
①A社担当者に不法行為責任、A社に使用者責任
②A社に対する下請法違反
②B社に対する安全配慮義務違反


10満期保有目的の債権の売却について 
原則:償還期限前の売却は禁止
例外:以下の場合は売却が認められる
   ・保有を継続すると損する場合
   ・売却を満期日に近い時点(3ヶ月以内)で行っている場合

【正当な理由がないにも関わらず売却した場合】
 ・売却した銘柄以外の銘柄について、売買目的又はその他に分類替えする必要あり
 ・売却した事業年度を含む2事業年度は満期保有に分類することを禁止


11.基本合意書についてのQA
Q:締結理由は?
A:方向性を事前に確認しておくことで、スムーズに最終合意に至る事

Q:締結は必須か?
A:スピード感を重視したり、IRを避けるためにあえて結ばない場合もある

Q:法的拘束力は?
A:一律に拘束力の有無を決めるのではなく、目的に従って持たせるべき条項とそうでない場合がある

Q:開示の実務上の取り扱いは?
A:基本合意の締結が最終形役に向けた準備段階に過ぎない場合は、取引が実際に行われるか否か分からないので、実務上行うことは少ない

Q:独占交渉権の期間は?
A3ヶ月~6ヶ月、1年を超えることはほぼない


12.店頭デリバティブ取引と手数料
■店頭デリバティブ取引は手数料の開示義務がない
()・株の売買の場合(手数料開示義務あり)
   株100+手数料10=支払額110
  ・店頭デリバティブ取引(手数料開示義務なし)
   金融商品110=支払額110
⇒支払額110の中に手数料を含んでいる。
⇒支払額110のうち手数料が20だった場合、110の価値の商品を買ったつもりが、実は90の価値しかない。
⇒手数料・業者利益についてはもっと敏感になるべきである。


13.ネット企業が続々誕生 フィンランドの秘密
フィンランドには世界的IT企業が続々生まれている
・ロビオ、スーパーセル(10月にソフトバンクが子会社化)などの世界的ゲームメーカー
・音楽定額配信のスポティファイ、検索エンジン開発のファストサーチ、スマホ向けOS開発のジョラ
大きな理由は2つ
①政府組織が年間200億円規模を投資
②ノキアの業績低迷
⇒上のベンチャー企業にはノキア出身者が多い


14.JINSのジェイアイエヌ 既存点売上高 50ヶ月ぶり前年同月割れ
PCメガネの需要が一巡
・新規出店で売上成長維持を狙うが、次の新商品がなければ高成長は難しい


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