2013年11月12日火曜日

11/8 勉強会:非上場関係会社の株式評価、債権評価の論点 他

1基礎から学ぶ消費税の転嫁拒否


・適用対象ケース
 ①大規模小売事業者が、継続して商品・サービスを買う場合
 ②大規模小売事業者以外が、資本金等の額が3億円以下である事業者等から、継続して商品・サービスを買う場合
 
 ※大規模小売事業者
 ⇒売上高が100億以上である or 一定以上の店舗面積を有する

・禁止される転嫁拒否等の行為
 -減額、買い叩き
 -商品の強制購入等
 -本体価格での交渉拒否
 -報復行為
 ⇒H25101日~H29331日が対象期間

・罰則
 -直接の罰則はなし
 -公正取引委員会等から立入検査などあり、指導等を受けることになる
 ⇒転嫁拒否分の消費税の支払い等

 ⇒悪質な場合は、会社名の公表あり


2.特定資産の買換特例を巡る税賠訴訟で税理士が一部敗訴


・個人の確定申告において、買換資産を取得期限までに取得できなかった
 →修正申告が必要だったが、その提出を税理士Aが怠った
 →過少申告加算税に相当する90万円の賠償命令が税理士Aに出された

・法人の確定申告において、買換資産を取得期限までに取得できなかった(申請期限
の延長を一度している)
 →税理士Aは会社代表に対して、再延長が認められない可能性が高いことを会社代
表に説明している
 →会社代表は、税理士Aを解任した
 →税務署の指導で、会社代表は修正申告を提出した
 →税理士Aには説明義務違反が認められないことから会社代表からの損害賠償請求
は退けられた

※税理士Aは同一人物で、個人と会社代表も同一人物である

・まとめ
 税務上の優遇措置を受ける場合は、要件を充足しなかった場合に必要になる処理やその影響などを事前に説明しておく必要がある


3.IFRSの任意適用の要件が大幅に緩和


■従来のIFRS任意適用可能な会社
①上場していること
②有価証券報告書において、連結財務諸表の適正性を確保するための特段の取組みに
係る記載を行っていること
③指定国際会計基準に関する十分な知識を有する役員または使用人を置いており、当
該基準に基づいて連結財務諸表を適正に作成できる体制を整備していること
④国際的な財務活動または事業活動を行っていること
→①~④すべての要件を満たす必要があった

■改定後のIFRS任意適用可能な会社
上記の②③のみ満たせばよい。


5.法人が解散した場合の事業年度・課税期間


■法人が解散した場合の法人税に係る事業年度と消費税に係る課税期間は一致する
■解散する法人が、連結子法人か否かにより事業年度及び課税期間が相違する

【法人税】事業年度
◇連結子法人の場合(連結納税を前提)
連結事業年度開始の日から残余財産の確定の日までの期間(連結法人として単体申告)
・残余財産確定の日の翌日において、連結納税の承認を取り消されたとみなされる

◇連結子法人以外
・事業年度の開始の日から解散の日までの期間
・解散の日の翌日からその事業年度終了の日まで


【消費税】課税期間
◇連結子法人
・連結事業年度開始の日から残余財産の確定の日までの期間

◇連結子法人以外
・事業年度の開始の日から解散の日までの期間

・解散の日の翌日からその事業年度終了の日まで


6.今年度の投資も対象、税軽減は来年度に


・新設の投資減税(生産性向上設備投資促進税制、ベンチャー投資促進税制、事業再編促進税制)適用時期は最短で平成261月下旬見込み

・今年度中の投資も対象となるが、法人税軽減は来年度から



7.実地調査が大幅減!通則法の改正が影響


・所得税、消費税の実地調査件数、前事務年度から大幅減少
 国税通則法改正による調査1件に要する日数の増加や、調査担当者数の減少が原因

・対応策として、文書や電話、来社依頼による面接などの調査を活用


8.国外財産調書制度


 ■概要
居住者が平成251231日時点で、その価額が5,000万円を超える国外財産を有する場合には「国外財産調書」を平成26317日までに提出しなければならない。
平成24年度税制改正で創設された。

■罰則等
・不提出・虚偽記載⇒1年以下の懲役または50万円以下の罰金
・不提出の場合、国外財産に関する申告漏れがあった際、過少申告加算税等が5%重課
 ※提出している場合、過少申告加算税等が5%軽減される。

■提出義務
各年の1231日時点で円換算額が5,000万を超えるときはその都度提出が必要


9.【所得税】個人向け国債と現金プレゼント


個人向け国債の購入時に、現金やギフトカードのプレゼントする証券会社等がある。
(例)1億円の国債購入で現金50万円等。

これにより受け取った現金等の所得区分は?
雑所得とされる(一時所得ではない)

■理由
一時所得とされるためには、下記の要件を満たす必要がある。
  営利を目的とする継続定期行為から生じる所得以外の一時の所得であること
  労務その他役務または資産の譲渡の対価たる性質を有しないこと

現金等のプレゼントと購入という行為が密接に関わっていることから②に抵触し、一時所得にはならない


10.日本版IFRS 初度適用時は遡及適用が必要


IFRS開始残高として日本基準における残高を用いる
 ⇒遡及適用したいためコスト面で優位だが、財務数値が相当程度異なるため☓
IFRS1号における遡及適用の免除規定の追加を検討する
 ⇒こちら採用


11.非上場関係会社の株式評価、債権評価の論点

 ①非上場関係会社の株式評価(時価を把握することが極めて困難と認められる株式評価)
  ・原則:次の場合は減損処理する
      →資産等を時価評価し、株式の実質価額が取得価額に比べて50%以上低下
       かつ、回復可能性がなし
  ・例外:減損処理不要
      →実行可能で合理的な事業計画に基づき5年以内に概ね取得価額まで回復できる

 ②非上場関係会社の債権評価
  ・非上場関係会社への純債権額(債権△債務)<実質純資産
   →引当金計上不要
  ・非上場関係会社への純債権額>実質純資産が債務超過

   →引当金計上必要(債務超過が臨時的であり、短期間に解消可能の場合は不要)


12.M&Aにおける「のれん」に関するモニタリング

(モニタリング:計画や目標の進捗状況を随時チェックすること)

<ポイント>
「のれん」の償却負担や減損処理が
将来の損益にどのような影響を与えるかを定期的にモニタリング

<M&A前にモニタリング準備>
・シナジー効果の予測、事業計画の作成
・のれんの金額と会計処理の確認

<M&A後に定期的にモニタリング>
・具体的な数値や行動目標
・担当者が責任を持つような体制
・M&A前の事業計画を適宜ブラッシュアップ
・投資回収が進んでいるか、減損の可能性等の検討

<日本基準とIFRSの違いを抑える>
()償却有無
・日本基準⇒「20年以内の期間で償却」が一般的
・IFRS⇒非償却
()減損テストの頻度
・日本基準⇒減損の兆候がある場合
・IFRS⇒毎年


13.税制改正大綱のポイントと実務上の留意点


<生産性向上設備投資促進税制>

・事務用器具備品や福利厚生施設等の生産性の向上に寄与しないものは対象外
・対象は青色申告法人とされているため、大法人でも適用可能
・中小企業投資促進税制に当てはまる場合はそちらの方が有利

<中小企業投資促進税制>
・今まで特定中小企業者等のみだったが中小企業者等も対象に

<試験研究費の税額控除>
・増加型について、改正後は5%超の増加が適用要件となる

<ベンチャー投資促進税制>
・有価証券の評価損のように回収可能性の要件はない
・ファンドの存続期間終了まで毎期洗い替えを行う

 (新規投資・売却分を考慮した保有残高ベースに調整が必要)


14.書評:「マッキンゼー 世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・
ファームの秘密」


・マッキンゼーの助言を受けて成功した企業もあれば、失敗した企業もある
(失敗例)エンロン、スイス航空、GM破綻
・なぜ企業はコンサルタントを雇うのか
→「社内の説得のため」

トップのメッセージを伝えるために、第三者の権威を借りる





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