2013年2月24日日曜日

2/22 勉強会:【裁判例】 消費税事案に係る税理士損害賠償請求を棄却(東京地裁) ほか



1.教育資金贈与、暦年贈与との併用OK!


(概要)
・祖父母から30歳未満の孫へ教育資金を一括贈与した場合、
1,500万円まで贈与税が非課税となる

(内容)
・孫一人につき1,500万円枠内なら、一括でなくてもOK
・110万円非課税枠との併用OK
・学校等以外の者に対する支払は500万円までOK
 例)通学定期代
・教育費の範囲に、予備校、塾、音楽教室、
 プール教室の支払も含まれる方向

贈与での非上場株式取得にみなし配当特例

(原則)
・非上場株式を発行会社に売った場合、
譲渡所得 → 15%課税
配当所得 → 最高40%課税
両方が課税される

(特例)発行会社に売っても譲渡所得しか発生しない株式
・先代オーナーから相続した株式
・オーナーから贈与された株式(オーナーが死んだ場合のみ)
※相続開始後3年10ヶ月以内の譲渡に限る

3.「相続税の取得費加算、「みなし譲渡」も特例対象

■事例
相続人が相続により取得した土地を相続人の同族会社に贈与
(無償譲渡)した。
この場合・・・
贈与したときの時価で譲渡があったとみなして課税される
=みなし譲渡課税

■論点
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(措置法39条)は、
みなし譲渡の場合にも適用されるか?
※(措置法39条)相続により取得した財産を売却した場合には、
相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる制度
⇒特例の適用対象となる

4.25年度税制改正に関するQ&A

■教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置
①祖父から1,500万円、祖母から500万円の教育資金を贈与された場合
2,000万円全部非課税になるか?
⇒受贈者1人当たり1,500万円まで非課税なので、
   この場合500万は課税対象となる。

②義理の父から贈与された教育資金は1,500万円の
非課税枠を使えるか?
⇒直系尊属からの贈与のみ対象となるので使えない。
  ※叔父、叔母からの贈与も対象外

■交際費の課税
12月決算法人が今年の4月1日以後に支出する交際費について
100%損金算入が認められるか?
⇒適用されるのは、H25年4月1日以後開始事業年度において支出する
交際費なので認められない。

■事業承継税制
事業承継に係る相続・贈与税の納税猶予の要件として
5年平均で8割以上を維持というのがありますが
4年目までは100%を維持して5年目に全員解雇してもいいのか?
⇒80%維持の要件を満たすので、適用できる。

5.二世帯住宅と小規模宅地等

■ポイント
①生計一かどうか
②死亡したときに同居していたかどうか

■被相続人が死亡時に終身利用権付老人ホームに入所していた場合
①配偶者が生活の基盤としていた宅地を相続により取得したとき
 →小規模宅地等の特例の適用可能
 →配偶者の場合は、被相続人との同居していなくてもよい
  被相続人と配偶者は生活のためのお財布が一緒(生計一)なため

②被相続人が老人ホームに入所する以前に建てた二世帯住宅で
 同居していた息子が二世帯住宅用の宅地を相続により取得した場合
 →小規模宅地等の特例の適用不可
 →被相続人が死亡したときに同居していた訳ではないから
 
 ただし、被相続人と息子の生活のためのお財布が一緒(生計一)
 なら適用可能

※①、②のいずれの宅地も被相続人が所有
※終身利用権付老人ホーム…入所後死亡するまで施設を賃借することができる

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6.【裁判例】消費税事案に係る税理士損害賠償請求を棄却(東京地裁)


■概要
税務顧問契約を締結していた税理士法人が『課税事業者選択届出書』
の届出に関する助言を怠ったことにより損失を被ったとして、
顧客が損害賠償請求を行った事例。

■地裁の判断
請求棄却

■判断理由
・税務顧問契約の範囲に税務に関するコンサルタント業務まで含むとは
定められていない。
・月額報酬が2万円と低廉であった。

■経過
控訴されていたが、後に和解により確定。

消費税:契約の自動更新にかかる経過措置について

■26年4月1日以後も旧税率が適用されるケース

・資産の貸付
平成25年10月1日の前日までに締結した契約に基づき、
平成26年4月1日の前から引き続きその資産の貸付けを行っている場合

・役務の提供
平成25年10月1日までに締結した契約に基づき、
平成26年4月1日以後に役務の提供が行われる場合

⇒契約が平成25年9月30日までにされていれば旧税率適用可


■契約の自動更新がある場合
原契約が従前に締結されているものについては、
契約の自動更新日が契約日となる。
⇒自動更新日が25年9月30日以前である場合は旧税率が適用されるが、
25年10月1日以後に自動更新されるものについては、
原契約が25年9月30日以前であっても新税率となる。

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8.取得関連費用の取り扱い

企業結合におけるアドバイザー報酬について。
(現行基準)
・取得原価に含める
・取得はあくまでも等価交換。
  等価交換の判断要素に利用したものに限って取得原価へ
・付随費用の考え方とも整合。

(国際的な会計基準)
・取得関連費用は企業結合とは別の取引
・取得関連費用のうち直接費は含まれるが間接費は除かれるのは不整合
⇒発生した事業年度の費用へ

オリンパスの事件では、アドバイザーへの巨額報酬がのれんに計上され
これが損失隠しに利用されていた。
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9.調査対応時の留意事項

■税務調査時に特に気を付けておくべきことについて

①調査官に資料のコピーを渡す場合は控えを取っておく。
⇒・何を調べているか把握するため。
 ・問題点の指摘時にどの資料を根拠にしているか把握するため。

②調査議事録(日報)を付ける
⇒・認識相違や会社側担当者の記憶違いを避けるため。
 ・次回調査への申送り書類となる。

③納得できる指摘事項は素直に応じる。
 納得できない指摘事項は応じない。
⇒顧問税理士とともに理論闘争する。

10.「グループ」の範囲

(1)連結納税の「グループ」
・連結親法人を頂点とした法人群
 (発行済み株式の全部を直接又は間接的に保有)
・外国法人が間に存在するとグループ関係が切断

(2)グループ法人税制の「グループ」
・一の者による直接又は間接の完全支配関係
・一の者は法人・個人・外国法人でもかまわない

11.改正退職給付会計基準適用に伴う税効果の影響

■連結財務諸表のみの処理
未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用(未認識項目)が
税効果を調整の上で、その他の包括利益累計額に計上
■繰延税金資産の回収可能性
個別財務諸表上の退職給付引当金に係る税効果額+連結財務諸表上で計上される
未認識項目に係る税効果額で判断
■会社分類
期末の将来減算一時差異の金額が比較対象の場合
(例:期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を
毎期(当期及びおおむね過去3年以上)計上している会社)
連単で当該会社分類は変えない
(個別財務諸表における当該会社分類が連結財務諸表において
変更されることはない)

12.完全支配関係者間での組織再編成

1.無対価でも、適格組織再編成に該当しない場合がある
  →一定の合併、分割、現物出資は完全支配関係の
   継続見込要件が課される
  →適格とされるのは親子間、兄弟間等一定の場合のみ

2.適格組織再編成でも、欠損金使用制限等が課され受入側で
  税務上不利な事象が発生する場合がある
  →5年間の支配関係があったことが必要
      (一定の場合を除き、設立以来継続して支配関係があれば
   5年以内でも適用しない)

3.非適格組織再編成でも、欠損金使用制限等が課される場合がある
  →移転資産に譲渡損益調整資産が含まれる場合は、
       合併法人で欠損金使用制限等が課される

4.連結納税を採用しているグループ内での組織再編でも、
    欠損金使用制限等が課される場合がある
  →支配関係が、組織再編前5年以内に発生している場合は
       特定資産譲渡損失の損金算入制限が課される
  →事業税の欠損金は単体納税同様、
       支配関係が組織再編前5年以内に発生している場合は
   制限が課される



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