2012年12月2日日曜日

11/30 勉強会:事業所得の必要経費、「直接」の関係は ほか 



一般口座の株式消滅損、事業・雑所得で必要経費と判断


(前提)
譲渡所得の計算→株式の発行会社の破産等により
個人が所有する株式の価値が失われたとしても、
それによる損失は原則として他の株式等の譲渡益や
給与所得など他の所得の金額から控除することはできない。
ただし事業所得もしくは雑所得に該当すれば必要経費に算入できる。

(譲渡所得と事業所得の区別)
営利性・反復継続性なし → 譲渡所得
営利性・反復継続性あり → 事業所得

(争点)
営利性の有無

(原処分庁の主張)
前提の通り、取得費に算入できない。
(審判所の判断)
今回のケースにおいて、上場株式等の譲渡による所得金額の計算上、
必要経費に算入できる。

(理由)
株式等の譲渡による所得が、事業所得もしくは
雑所得に該当するかの判断方法については、
当該譲渡が営利目的として継続的に行われているかどうかによって判定。
請求人は、証券会社3社において、
多額の取引を行って(売却回数約2800回、売却銘柄60銘柄以上)おり、
保有期間も6ヶ月未満であった。
→明らかに営利目的で株式譲渡を継続的に行っていると認められる。
→株式譲渡による所得は、譲渡所得には当たらず、
  事業所得or雑所得が相当
→損失を事業所得or雑所得の金額の計算上、必要経費に参入できる。

外国籍を利用した贈与税回避スキームを封じ込め


⇒日本国籍がない相続人が相続した国外財産も課税対象にする。

(具体例)
・登場人物
父(日本国籍あり)
子(日本国籍あり・5年以内に国内に住所あり)
孫(外国籍・日本国籍なし。国外に居住)

・相続・贈与財産
国外財産

①従来
父⇒子:課税
父⇒孫:非課税
②改正案
父⇒子:課税
父⇒孫:課税

特定期間中の課税売上高による納税義務の判定


⇒特定期間において次の①、②の金額が共に1,000万円を
 超える場合は、基準期間における課税売上高が1,000万円未満でも
 消費税課税事業者となる。

①課税売上高
②給与等の支払額合計
※特定期間とは
   個人事業者の場合:前年1月1日~6月30日
   法人の場合:直前期の上半期

適用時期は、H25年1月1日以後に開始する事業年度より

事業所得の必要経費、「直接」の関係は必要か


■ケース1
 公認会計士が、賃借している事務所の一部を100%出資している法人と
  社労士に無償で使用させ
 事務所経費の全部を事業所得の必要経費に算入していたケース

①請求人主張
 事業収入と直接的な関係をを要求されているのは売上原価で、
  必要経費(販管費)にはその要件は不要である

②審判所の指摘
 支出が事業所得の必要経費として控除されるためには、
  支出と事業からの収入が直接関係していて
 さらにその業務を行うために必要な費用でなければならない
 →業務に必要かどうかの判断は社会常識などに従って
   客観的に行われるべきである
 →また貸し部分の家賃は借りている人が負担するべき
 →一部の賃借料を必要経費に算入することはできない

■ケース2
 弁護士が支出した懇親会費等を、
 事業所得の必要経費に算入していたケース

①東京地裁の判示
 懇親会費が必要経費として控除されるためには、
  その支出が弁護士業務と直接関係し、
 かつ、業務を行うために必要である
 →業務に必要かどうかの判断は社会常識などに従って
   客観的に行われるべきである
 →懇親会に参加しなくても業務に支障はない
 →懇親会費は必要経費に算入できない

②東京高裁の判示
 懇親会費が弁護士業務を行うために必要なら、
 その業務と関連する支出となる
 →懇親会に参加して他の弁護士と親睦を深めることは、
   弁護士業務の一部である
 →懇親会費は必要経費に算入できる

※国側が最高裁に上告受理申し立て中

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5.【消費税/印紙】インターネット取引と 仕入税額控除 / 印紙税

■仕入税額控除
・インターネット取引による課税仕入について
  電子データ以外の証憑の保存が出来ないときは、
 帳簿にその旨と相手方の住所を記載することにより、仕入税額控除が認められる。

■印紙税
・FAXや電子メールにより領収書を発行した場合には、印紙税は課されない。
 (課税文書は存在しない)
・ただしのちに正本を紙で交付するような場合には、正本は課税文書に該当する。

太陽光発電の屋根貸し賃料について

太陽光発電設備を設置するために「屋根」を貸した場合の
税務上の取扱いは次の通り。

■消費税
⇒課税売上(居住の用に供するための貸付でないため非課税とならない)
※居住用マンションの屋根(屋上)であっても課税売上となる。

■所得税
⇒不動産所得として収益計上

■法人税
⇒収益計上

税務調査の事前通知と税務代理権限証書について

国税通則法の改正により税務調査を行う場合の事前通知が明確化された。

■通知対象者
①納税義務者
②税務代理人⇒「税務代理権限証書」を提出した税理士等のこと

法定化により、原則として「税務代理権限証書」を提出した税理士等でなければ
事前通知されないこととなる。
※但し、申告書に署名があれば運用上は事前通知される。

⇒弾力的に取り扱われるが、「税務代理権限証書」を提出しておくのがベター。

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8.借手のリース処理、不動産か否かで使い分け(新リース基準案)

・使用権モデル
・使用権資産とリース債務を計上する

①I&Aアプローチ(前倒しの費用計上)
 ⇒不動産以外のリース
  使用権資産:規則的な方法で償却
  リース債務:実効金利法による償却原価で測定

②SLEアプローチ(定額のリース費用)
 ⇒不動産のリース
  ・リース債務:実効金利法による償却原価で測定  
  ・毎期定額のリース費用を認識する

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9.スクイーズアウト手法の税務ポイント

【スクイーズアウトとは】
 現金を対価に少数株主を排除し、完全子会社化を達成する取引

【結論】
 株式等売渡請求が最も有力な選択肢

【取引手法】
 ①現金合併
  →対象会社が時価評価課税を受ける
 ②現金株式交換
  →対象会社が時価評価課税を受ける
 ③全部取得条項付種類株式を用いた手法
  →端数処理の際、買収会社が譲渡益課税を受ける
 ④株式等売渡請求(利用可能予定)
  →問題は生じない
 ⑤株式併合(利用可能予定)
  →端数処理の際、買収会社が譲渡益課税を受ける

10.子会社不正リスク管理の重要性と対応ポイント

■4つのポイントについて

①不正が起こりやすい背景を理解する
→不正が起こっていそうな箇所の目星をつける
・小口現金の抜取、在庫・備品の流用、偽造請求書を用いた支払い

②不正が隠蔽されやすい背景を理解する
→どのような隠蔽工作が行われるか把握する
・現金出納帳の改ざん、在庫帳の改ざん、偽造請求書の作成

③不正の兆候を見逃さないために
→不正は内部統制上の欠陥を探し当てたうえで実行される。
・内部統制上の欠陥、不正を実行した痕跡について検討する

④不正の早期発見・早期対応のために
→不正の内容と手口に関する仮設を構築する
・社内、社外の関係者との共謀・書類の偽造について検討する


11.移転価格による修正か寄付金による修正か

国外関連者との取引の修正に関して、移転価格税制の適用か寄付金にされるか

<区分の判断>…現実的には明確ではない
・独立企業間取引とは異なる金額でも対価の支払いが
ある⇒移転価格税制
ない(無償の資金提供・債務免除)⇒寄付金

※ただし、対価の支払があっても無償の供与や贈与と解釈できる場合は
国外関連者への寄付金として取り扱われることもある。

<対策>
・統一した移転価格ポリシーに基づく文書化
・課税当局への事前・事後相談


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