最終赤字は、5717億円、うち、特別損失として5000億円規模の「損害賠償費用」を計上することになりました。
賠償額は今後も膨らむ見込で、財務に与える影響も憂慮される中、
西沢俊夫社長は、「債務超過になる心配はない」とのコメントを発表しました。
その根拠は、「原子力損害賠償支援機構から賠償資金をもらう。そのお金は決算上、利益として計上されるので」とのこと。
国からお金をもらう、というのは分かるにしても、
それが利益に計上される(つまり、PLにヒットする)とは、どういうことか?
そのカラクリは、現在参院で可決された、原子力損害賠償支援機構法にあるようです。
この支援機構は、原子力損害が発生した原子力事業者(例:東京電力)が損害を賠償するために必要な資金の交付その他の業務を行うとされています(第1条)。
資金の交付の具体的な内容は、第40条・41条に記載されています。
1.資金交付(要賠償額から賠償措置額を控除した額を限度として、損害賠償の履行に充てるための資金を交付すること)
2.株式の引受け
3.資金の貸付け
4.社債又は主務省令で定める約束手形の取得
5.資金の借入れに係る債務の保証
上記のうち、2~5については、いわゆる増資や借入・社債発行などと同様の処理を行うことになる、すなわち、P/Lにはヒットしないのですが、
1の資金交付については、機構が交付を決定した時点で利益(または賠償費用のマイナス)として処理することになります。
※ 利益計上には下記2点が必要になります。
① 交付が決定されていること(決定前は、偶発利益のため計上不可)
② 要賠償額から賠償措置額を控除した額を損失計上していること(実際に支払うor引当計上)
西沢社長が言う「利益に計上される賠償資金」は、1の資金交付を指しているのです。
その交付金額ですが、「要賠償額から賠償措置額を控除した額」となっています。
賠償措置額とは、原子力賠償制度で定められた、事業者自身が負うべき賠償額のこと。
「熱出力1万Kw以上の原子炉の運転」では、1200億円と定められています。
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